誰もが、胸の奥に、いくつになってもしまい込んでいる初恋の記憶。
大事な思い出は、思い出のまま終わることが殆どですが、もしその初恋に続きがあるとしたら・・・
忘れられない初恋が、再び動き出した、そんな物語です。
「真夏のエデン」1巻のあらすじ
芦田水夏は、体が弱く、夏になると田舎の祖母の元ですごしていました。体が弱いために、東京でも友達と距離を置き、田舎に来ても東京の人間ということで友達もできません。
そんなある日、水夏は、ひとつ年上の紺野冬麻という少年と知り合います。川で転びそうになった水夏を助けようとした冬麻は、岩で脇腹を切り出血し、それを見た水夏は、ショックから発作の咳がおさまらなくなります。
水夏は、精神的なショックや大きな音などでも発作を起こしてしまうため、夏は田舎で過ごしているのだと冬麻に打ち明けたのでした。
冬麻とふたりで行った夏祭り、大きな音に驚かないよう耳を塞いでくれる冬麻。
東京へ帰る日、見送りに来た冬麻は、来年の夏、メアドを交換しようと言い、おそろいのストラップを手渡します。
しかし、1年後の約束の日、そこには冬麻のストラップだけが置いてあり、冬麻は現れなかったのでした。ふたつのストラップを結び、その場に残して水夏は東京へ帰るのです。
「真夏のエデン」1巻のネタバレ
あの夏から12年、合コンで偶然再会した水夏と冬麻。冬麻に交際を申し込まれ、初恋が再び動き出します。
初デートの夜、冬麻は兄を紹介したいと言いました。水夏の派遣先の社長が、冬麻の兄だというのです。そこで突然鳴り響く非常ベルに、発作を起こしかけた水夏の耳は、突然誰かの手によって塞がれます。
それが、そこへ現れた冬麻の双子の兄、秋也だったのでした。
幼いころ両親が亡くなり、離れ離れで育ったという冬麻と秋也。大きな音に自分の耳を塞いでくれ、13歳のころの呼び名で自分を呼ぶ秋也の行動に、水夏は戸惑います。自分が好きだったのは、だれなのか・・・
しかし、ふたつに結ばれたストラップを持っていたのは冬麻だったのです。
会社で企画書の募集があり、秋也の期待に応えようと、仕事に励む水夏。厳しさの中にも優しさが見え隠れする秋也に、どうしても初恋の冬麻が重なってしまうことに不安は広がります。
冬麻本人が好きなのか、初恋の人だから冬麻に惹かれているのか、わからなくなってしまう水夏でした。
感想
初恋は初恋のまま終わって、甘酸っぱい記憶として眠り続けるものですけれど、それが大人になって動き出したら、水夏のようになってしまうのでしょうね。恋に恋をしていた時代の恋は、きれいなまま取っておくか、更にきれいに上書きするか・・・。
水夏が好きだったのは、冬麻なのか秋也なのか、とても微妙な感じですよね。思い出の品物を持っていた冬麻、思い出の行動のままに接してくる秋也。目の前に現れた二人と、思い出のなかの冬麻との間で揺れ動く水夏。
そして、とても積極的な冬麻と、何かを隠しながら気持ちを抑えている様子の秋也。ふたりの間にも、何かがありそうですね。それが徐々に解明されていくのが楽しみです。
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