仕事に邁進してきた楽子にもついに恋の訪れが?
司法研修所の同窓会に、ご近所ペットトラブル。さらに不倫の果てに妊娠した女性が、相手に責任をとらせたいと相談してきて――?
今巻も楽子が様々な難問を体をはって立ち向います!
「そこをなんとか」3巻のあらすじ
司法研修所の同期会。楽子は、日本でも指折りの大事務所に入った赤星と再会します。赤星は、元キャバ嬢の楽子と対照的なエリートおぼっちゃん。彼は楽子に何かと突っかかってきますが、楽子は持ち前のタフさと鈍感さで受け流していきます。
「俺はブス専だから」というこの台詞に、彼の性格や素直になれない性根が垣間見えるような気がしますが、何を言われてもこたえなかった楽子が、赤星が家賃25万のタワーマンションに住んでいると知った途端キレます。
「スタート一緒で何この格差社会!」楽子の叫びが、夜の街にこだまします。
そして、区の無料法律相談で楽子はペットのコーギーが老人に飛びつき、持っていた骨董品を破損させたため300万円の損害賠償を請求されているという愛犬家の女性に相談を受けます。
被害者は犬嫌いの老人松浦。法外の賠償額ゆえ、ゆすりだと思う楽子でしたが、実は彼は幼い頃、野犬に噛みつかれ、狂犬病予防の徹底していなかった時代ゆえ、病院に隔離され死の恐怖におびえてトラウマを負ったという過去がありました。
そして、骨董品は偽物でしたが、松浦は本物だと信じており、彼も骨董屋に騙されていたのでした。無事和解でき、成功報酬も上々だった楽子はほくほく顔。
他、不倫の果ての婚約不履行問題や、菅原事務所の有能事務員久保田さんと息子の親権問題など、楽子は降りかかる案件を東征奔走しながら解決していきます。
「そこをなんとか」3巻のネタバレ
ネタバレです。楽子の先輩弁護士東海林は、赤星の所属する奥山・城之内事務所に入るはずでしたが、事情で入れなくなってしまいました。そして、東海林の司法修習所の同期の中道は、奥山・城之内事務所に所属しています。
中道は大の犬好きで、ほっけという名前のコーギーを飼っています。東海林も犬好きで、依頼人の犬の散歩に嬉々として参加します。そこで彼が思わず呼んでしまった名前は、ほっけ。
過去に何かありそうな東海林と中道。東海林が大手事務所に入れなかった理由とあわせて、これから解き明かされていくことになるのではないでしょうか?
また、事務員久保田さんはシングルマザー。代議士の息子との結婚を反対され、お腹にいた子供の養育費だけもらって泣く泣く別れた過去があります。その息子は今は結婚していますが未だ子供はおらず、業を煮やした親が久保田さんの息子、昴の親権を取ろうと画策します。
すったもんだの末、昴の親権は久保田さんのままでおさまりました。昔から何かと久保田さんを見守ってきた菅原は、全てが片付いた後久保田さんにお茶を煎れてもらい、久保田さんはそんな所長をみながら優しい笑顔を見せます。ちなみに、菅原所長は奥さんに先立たれ、やもめです。
菅原事務所の所員達の私生活を垣間見られるような3巻でした。
「そこをなんとか」3巻の感想
前巻まではひたすら仕事を解決していた楽子でしたが、今巻からは、同期の赤星からの矢印が見え始め、ラブコメの気配が漂ってきました。仕事だけでも十分面白い話でしたが、恋愛要素が加わることによって、さらに面白さが増してきたような気がします。
そして弁護士の格差社会、実在の人物をモデルにしていますという注意書きが、弁護士会の世知辛さを教えてくれます。
このほかにも、新試験合格者は質が落ちた扱いされる、検察は裁判員制度の一般ウケを考えてイケメン採用枠があるという噂がささやかれているなど、ホントかフィクションかわからないけれど妙にリアルな描写がいかにもありそうで興味深いです。
楽子に恋の芽生えはまだ見えませんが、彼女に春は訪れるのか、これからの展開を期待したいです。
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