新米弁護士の楽子も、菅原事務所に勤務をはじめて半年が経ちました。
妊娠したフィリピン女性の胎児認知、ひき逃げ事件の弁護、様々な案件が舞い込んできますが、彼女は今日も、仕事のために西へ東へ。先輩弁護士東海林のアドバイスを受けながら、話を聞いて回ります。
経験を積んでも、楽子は事件に一喜一憂し、持ち前の人間力で依頼に体当たりしていきます。
「そこをなんとか」2巻のあらすじ
楽子が菅原事務所に勤務し半年。歓迎会が開かれることになりました。飲んで正体を失った東海林は、楽子のシェアハウスのゲストルームで目を覚まします。そのシェアハウスは、外国人も多く利用する国際色豊かなところです。
食べ物と引き替えに法律相談にも乗る楽子は、皆に頼りにされていました。そこに、フィリピン人の妊婦、アンジェリカが友だちのツテで相談にやってきます。
彼女は幼い頃、出稼ぎに来た家族と一緒に日本に来ましたが、家族はビザの更新にしくじり、一家で不法滞在を続けていました。
それでも看護学校に通い、その時代のアルバイト先で知り合った男性と関係を持ち妊娠。その事を相手に話すと、責任を取ると言った後に連絡が取れなくなったとのこと。噂では男は金持ちの婿養子と言われており、アンジェリカは捨てられたと思っています。
認知させようと激高する楽子でしたが、「日本人の父と外国人の母の婚外子の場合、子供が胎児の時に父親が認知をしないと日本国籍は得られない」という「胎児認知」の法律により行き詰まってしまいます。
なんとか一月後の出産までに認知させなければいけない。タイムリミットに向けて、楽子は動きます。楽子は無事子供の認知を勝ち取ることが出来るのでしょうか――?
「そこをなんとか」2巻のネタバレ
ネタバレです。楽子は、胎児のうちに認知をさせることは出来ませんでしたが、男は妻と離婚し、アンジェリカにプロポーズします。
また2008年の国籍法の改正により、結婚していない男女でも出生後の認知により日本国籍が取得出来るようになったそうで(この話の掲載は2008年2月)このような豆知識も読んでいて興味深いです。
この他にも、楽子は菅原の教える大学の裁判員模擬裁判で裁判員も体験し、素人意見の飛び交う裁判で専門家として切れ味鋭い意見を見せます。被告人に偽証罪は成立しない、つまり被告人は嘘をついてもいい、という豆知識は衝撃的です。
ひき逃げ事件の弁護では加害者の祖母の涙を見て義憤に燃え、張り切って仕事にのぞみますが、弁護をする相手がいつも良い人物であるとは限りません。加害者と被害者の生き方と人物造形が見所です。
軽いタッチで弁護士の業務や日常で役に立つかもしれない法律も学べるので、漫画を楽しむだけでなく、知識も得たいと言う方にオススメします。
「そこをなんとか」2巻の感想
弁護士というのは、情だけではなんともならず、法律に縛られながら人と人との間を調整していきます。頭がいいだけでやっていくのは難しい仕事だとつくづく思います。
傷が治ってもお金で補っても決して戻らない大切なもの そこに踏み込むのも弁護士《わたし》の仕事なんだ
この楽子の独白を読むと、こういう所を感じることが出来ることこそ、弁護士の仕事の大きな助けになっていると思います。
楽子とは逆に先輩弁護士の東海林は、知識と頭脳を駆使して依頼をこなしていきます。依頼人に余り踏み込まないスタンスの東海林ですが、楽子をフォローし、的確にツッコミを入れていきます。
この二人に、少女漫画らしい恋は起こるのでしょうか?
今のところその気配は全くありませんが、お年頃の独身ふたりというシチュエーションに期待し、今後の展開を見守ろうと思います。
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