いつもニコニコ笑っている人が、心も笑っているとは限りません。大人になるほどそういう事がよくあります。それが生きる術ですから。
そして、表紙で笑顔を見せる烏丸は、とっても大人でいい人だと周りから見られがちなタイプです。この笑顔の裏にある彼の本当の気持ちが、相手に伝わる日は来るのでしょうか――。
「ライアー×ライアー」5巻のあらすじ
烏丸は、湊と普段通りに接しています。その事を少し不信に思うと同時に、塚口先輩につきあっていると嘘をついた真意を知りたいと思う湊。
そんな時、烏丸は湊の透への態度だと、弟に気持ちがバレバレだと釘を刺してきます。焦ると同時に、テンションが上がった湊は、みなとして透に連絡をとり、会いに行きます。そこで自分の話題が出され、あせる「みな」ですが、透は急に和解し始めた湊を不信に思っている様子。自分のフォローをして、仲良くなるといいとアドバイスをします。
急速に和解し始め、透と湊がきょうだいだという話が広まったものの、透目当ての女子がやってきたり、透に遊ばれた女子にしめられたり、さらには透の噂に巻き込まれて、湊は中高時代の黒歴史が甦ります。
塚口先輩にまで、透は評判が悪いし大丈夫かと言われますが、湊は透は不器用で友だちがいないから自分がかまってやらないといけないと、透をかばいます。そこに、サークルの会長が友だちがいないなら、透にサークルに入ってもらおうと提案し、湊は透を勧誘することになってしまいました。
ダメ元で勧誘するも、透はあっさりOK。入会した透は意外にも受け入れられていきます。しかし、烏丸の大学との合同サークルの飲み会で、烏丸は透を見て微妙な雰囲気に。酔った勢いか烏丸は透に、湊がいるからサークルに入ったのかと挑発するような事を言ってしまいます。
そして、透は塚口先輩やサークルの部員と仲良くなるなど、順調にサークル活動を謳歌していっています。みなに、きょうだいとも上手くやれているし、サークルで友だちもできて大学が楽しいという透。
対して湊は、烏丸とサークルのクリスマス会の準備をすることになってしまい、去年クリスマスに烏丸をふったこともあり、内心気まずさでいっぱいです。みんなで楽しいクリスマスにしようね、と湊に笑顔を見せる烏丸の真意は、どうなのでしょうか?
「ライアー×ライアー」5巻のネタバレ
ネタバレです。烏丸は、やはりふっきれていません。透のクリスマスを探りながら、彼女と会うと聞いて思い詰めた表情を見せます。
また、湊に対しては事情を知っていて透とのクリスマスデートに協力するような姿勢を見せます。湊といる時は物わかりが良く、そつの無い対応しかとりませんが、素顔をもっと湊に見せていれば、何か違った結果が得られたのではないでしょうかと思ってしまいます。
烏丸は妹に「ちゃんと自分の気持ちを伝えないと遠回しじゃなーんにも起きないよー」と言われてしまいますが、正にこの通り。サークルの合宿に行っても、湊には、安心してしまうほどにいつも通りと思われてしまう烏丸は、思い悩むだけで何も進展させることができません。
しかし透に、同じ顔で間違えたりしないの?と揺さぶりをかけるなど、モヤモヤはつのっているようで、今後の予測不能な彼の言動に目が離せません。
「ライアー×ライアー」5巻の感想
絵に描いたような好青年の烏丸ですが、湊に向ける笑顔の下には、かなり鬱屈した思いを抱え込んでいます。チクチクと透に投げつける言葉は、かなり辛辣で、器用そうに見えてこじらせる典型的なタイプではないでしょうか。
いい顔だけ見てたいじゃダメだってわかってるんだけどなあ……、という彼の独白に全てが込められているような気がします。
素直に行動して幸せを感じている透、理性的に行動したあげく苦悩する烏丸、この二人の対比が印象的な5巻でした。
透の幸せが砂上の楼閣だとしても、湊の気持ちは透にあります。義姉弟の恋はどうなるのか? そして気持ちを捨てきれない烏丸が動く日はくるのでしょうか。
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