弁護士といえば、医者と並んで高給取りの代名詞。しかし、現実はそうでもないようで……。
資格をとったばかりの、キャバ嬢あがりの新米弁護士が巻き起こす、司法コメディ。NHKでテレビドラマ化済みで、面白さは太鼓判です!
「そこをなんとか」1巻のあらすじ
改世楽子は、弁護士資格を取り立ての新米弁護士です。司法試験の改正により、弁護士資格を取ったものが急増したため、就職難の真っ最中。キャバ嬢時代に採用の口約束をした弁護士事務所の所長、菅原を頼り、弁護士2人の小さな事務所に押しかけます。
先輩弁護士、東海林に追い返されかけるものの、キャバ嬢の同僚の依頼人、戸田が訪れ、どさくさで話を聞いてしまいます。戸田は、結婚詐欺で訴えられていると語り、色々な物をもらってはいたが、相手の浮気が原因で別れ、自分に非は無いと主張します。
相手の男、飯島の告訴理由を知るために、勤務先のキャバクラへ楽子を尋ねた東海林は、楽子を使って飯島の本音を聞き出させます。飯島は、浮気相手とホテルには行ったが何もないと主張し、贈ったものを交際中から戸田が売っていたのが許せなかったと語ります。
ホテルに行ったことを認めるのなら、何もなかったと証明出来ないと東海林はケリをつけるつもりでしたが、戸田は飯島を好きだったと信じる楽子は、浮気相手にも話を聞きに行きます。
しかし、調査中、戸田と浮気相手はグルで、戸田が貢ぎ物を浮気相手に横流ししていたことが判明してしまいます。依頼者の立場を守り、早まった臆測をするなと東海林は楽子をしかりますが、楽子は戸田の元に走ります。
飯島に謝ろうと言う楽子を戸田は拒否しますが、起訴されたら有罪率は99%、示談金を用意するようにと東海林は突きつけます。
後日、戸田は飯島に手紙を送ります。そこには、浮気をされたことを悲しみながら、身分違いの自分との結婚がなくなって安心した気持ちもあったこと、そして謝罪の気持ちが綴られていました。
同封されていた指輪に、飯島は涙を流し告訴を取り下げます。代々受け継がれてきた祖母の形見の指輪を売らずに持っていたこと、それが嬉しかったのです。
しかし真相は、古い指輪だったから戸田は売らずに持っていたとのこと。美談に仕立て丸く収まりましたが、楽子は納得がいきません。しかも、所長達は報酬をぼったくっていたのです。示談金よりも安くすんだと戸田は喜び、みんなが満足したと東海林は断じます。
目を丸くする楽子に、所長は微笑み、事務所への就職を勧誘するのでした。
「そこをなんとか」1巻のネタバレ
ネタバレです。主人公の楽子は貧乏育ち。空腹の余り人参を盗むような生い立ちの彼女は、父のすすめもあり、弁護士に挑戦。生活費と学費でカツカツの生活をおくるあまり、キャバ嬢をすることになったという、強くてあっけらかんとした女性です。
対して先輩弁護士の東海林は、絵に描いたようなエリート。在学中に司法試験に受かり、早々と大手事務所に就職を決めた彼は、事情で就職が出来ず、菅原事務所に転がり込むことになります。これからこの事情は描かれていくでしょうが、このデコボココンビが依頼を解決していくスタイルで話は進んでいきます。
楽子は作中で弁護士の仕事について語ります。
「そこをなんとかって頼んだりなだめたり、そんなことの方が大半なんですね」
地道に仕事を頑張る楽子の奮闘に、興味を持たれた方は、ぜひお試しください。
「そこをなんとか」1巻の感想
新米弁護士が主人公のこの物語、お仕事漫画がお好きな方には、とってもオススメです。
主人公、楽子はキャバ嬢経験者のタフで明るい女性。彼女の仕事ぶりを見ていると、弁護士というのは関係者全員に話を聞いてまわり、こつこつ証言と証拠を集めて調整をしていくという、意外に地道で泥臭い面があるのだとわかってきます。
足繁く被告人の元に通い、家族や被害者、果ては目撃者まで、楽子は持ち前の人なつっこさで親身に話を聞き、感情の赴くままに怒り、泣き、そして笑います。
日常のトラブルもからっとした明るいタッチで描かれるため、読後感も良く、司法の豆知識までつくこの物語、読んで損はありません!
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