16世紀、フィレンツェ。ルネサンス時代。
貴族の娘として生まれたアルテは、少々風変わりな娘でした。籠の鳥でいることを好まず、母の反対を押し切って絵画に夢中になります。夢は画家になること。しかし、女性が画家になることは、とてもとても難しい時代でした。
貴族の娘アルテが画家を目指し、真っすぐに生きていく物語です。
「アルテ」1巻のあらすじ
貴族、スパレッティ家の娘アルテ。
この時代の貴族の娘は、たしなみ程度の教養を身に付け、良家に嫁ぐことが何よりの幸せと言われていました。
しかしアルテは、絵を描くことが何よりも大好きな16歳の少女です。アルテの唯一の趣味を理解してくれていた父が亡くなったことで、アルテの生活は一変します。
絵を描くことに全く理解のない母に反発し、画家を目指すことを心に決めます。
画家になるための第一歩である弟子入りのために、数々の工房を訪ねますが、アルテが女であるという理由だけで話はおろか、絵を見てくれることさえ叶いません。
女だからという理不尽な理由で夢に近づくことも出来ないアルテは、公衆の面前で長い髪をナイフで切り落とすのでした。そして、それを見ていた民衆のなかに、ひとりの男性が目を丸くしてアルテを見つめるのでした。
「アルテ」1巻のネタバレ
成り行きから、小さな工房を持つレオがアルテを一旦引き受けることになりました。今までの工房の主人とは違い、アルテの絵を見て話を聞いてくれるレオ。レオは、アルテに無理難題を押し付け、それができたら弟子に迎えると言います。
見事に無理な課題をやってのけたアルテは、絵が好きということよりも、自分の力で生きる道を目指したいとレオに話します。かつての自分の思いと重なるレオは、アルテを正式に弟子として迎えるのでした。
住まいの修復のための資材を買いに行った先で、アルテは荷車から重い荷物を崩してしまいます。通りかかって助けてくれたのは、アルテと同じように画家の弟子をしているアンジェロでした。
女とバカにされないため、アンジェロの親切も断ったアルテ。泣き言も涙も、ひたすら我慢するのでした。
謝肉祭の夜、レオと連れ立って出かけた先で、ヴェロニカという高級娼婦に会います。レオの取引先のひとりで、いつも怖い顔ばかりのレオが、ヴェロニカの前だと笑うことに心が痛むアルテ。
その後、ヴェロニカに気に入られたアルテは、初の依頼としてヴェロニカの肖像画を引き受けます。アルテの胸の痛みを聞いたヴェロニカは、それは恋だと言うのでした。
アルテにとって、初めての恋です。
「アルテ」1巻の感想
貴族として生まれ、ある程度将来を約束されたお嬢様が、夢に向かって進む物語。画家になるために、ひとりで生き抜くことを誓ったアルテの、目の輝きはとても素敵です。
高級娼婦のヴェロニカは、アルテの素敵な友人であり、、良き相談相手であり、仕事上の取引先でもあります。
彼女の住む世界は、職人とも貴族とも異なる世界ですが、アルテにとっては知識のある努力家の女性。職業で人を判断することなく、ひとりの人間として相手を見ることができるのは素晴らしいことですね。
自分の道を、自らの力で切り開き、貴族の世界から飛び出したアルテ。初めての恋に戸惑っているようですね。仕事に、恋に、今まで知らなかった世界を進むアルテ、たくましく頑張ってほしいと思います。
この記事へのコメントはありません。