普通に暮らせることが当たり前だと思う事が日常になっていて、五体満足でいる事が普通になり感謝する事も少ないのが普通の人でしょう。またその日を生きる事に必死になり気付かないことが多いのかもしれません。
「淋しいのはアンタだけじゃない」は異色の漫画です。聴覚障害者を対象にした吉本浩二さんのルポ漫画です。
「淋しいのはアンタだけじゃない」のあらすじと概要
この漫画は異色の漫画でフィクション漫画でルポと緻密な取材をこなし、現在進行形で描かれています。まず初めに出て来る聴覚障害者の世界を分かりやすく解説しています。音が聞こえるという事を科学的に分かりやすく解説しており、まず音が聞こえるまでが客観的に理解できます。
その後に出て来る耳が聞こえないと言う事の解説は、見落としがちな聴覚障害者の現実をコミカルに更に鋭く描いていきます。そして彼らが陥りがちな危険性についてまた解説が続きます。そして話は大きく進展して佐村河内守氏の話へと続いていきます。ここで驚くような話が出てきます。
今でも進展するルポと取材
ネタバレです。この作品は異色であり渾身の作品です。話題になった佐村河内氏の事件は日本中を騒がせましたが、彼が音が聞こえないという事は嘘であると告白して大きな騒動へと発展します。
しかしこの話には続きがあり現在進行でもあります。彼の特異なスタイルだけが問題となったのですが、本質は彼が聞こえていた事が嘘であったのではないかと言う衝撃的な事実がこの漫画で突きつけられます。
その事を検証していくのですが、その事で分かるのは実は彼が本当に聞こえてないのではないかという事です。それを確認する為に聴覚障害者に取材するとそこで語られる聴覚者の真実をコミカルに話してくれます。しかしその中でも突き刺さるような真実が次々と迫ってきます。
感想と解説
緻密な取材に基づき語られる真実のルポ。この漫画を描いている吉本さんは「さんてつ」「ブラックジャック創作秘話」などを出版しました。吉本さんは福祉大の出身であります。しかし特別福祉に詳しい訳ではありません。この漫画で感じる事は自分が何も知らないという事です。
特に印象的な聴覚障害者は健常者と見かけは何ら変わらないという事です。その事で他の障害者（目が見えないなど）と大きく違い、耳が聞こえない事で激しい孤独に襲われるという事です。しかしそれが深刻に描かれる訳でもなくユーモラスに描かれていく事で読みやすく、考えやすくなります。
自分が健康である事を改めて考えさせられます。そして「話したい」という彼等の欲求が手話だけで会話するパーティーなどが催されている事実も知ることが出来ます。そしてとても身につまされる事があるのですが、聴覚障害者の大きな真実なのですが「とにかく笑顔で答える」という事なのです。これは自分を守る手段であったという事など明かされる真実に驚きを隠せません。
そして「ＦＡＫＥ」という映画が今度公開されるのですが、この漫画でも取り上げられる佐川河内氏の真実を描いていてこの映画の前にこの漫画を読む事を勧められています。今後の展開でそれも明らかになるのでしょう。
最後に「僕のとなりにもいたんだろうな」という自分たちが気付いていなかった真実をこの言葉で表現しています。難しい内容ながら引き込みながら読みやすく考えさせてくれるこの漫画は異色作と表現しますが、一度では分からない事も何度も読むことで理解できます。繰り返し読んで欲しい漫画です。
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