卓球というと失礼な話あまりポジティブな印象をもたれないスポーツでした。しかし近年福原選手や石川選手の活躍によりメジャーなスポーツへと進化しました。また身近なスポーツであるので親しみやすいスポーツでもあります。そしてその卓球を舞台にした漫画少年ラケットは1人の少年の成長を見守っていく掛丸翔さんのスポーツ漫画です。
少年ラケットのあらすじ
日向伊智朗はこれっといった特技もない普通過ぎる中学生です。イチローと言う名前だけで入った野球部もボール拾いもままならい位の出来で、本物のイチローと比べる事も無い程でした。
しかし彼には理由がありました。約一年半前に自宅が火事になりそこで父親を亡くし、そのショックを引きずり記憶までも失ってしましました。そのことを気にするそぶりもなく明るく振る舞っています。また内田君という野球部でもクラスでも一緒の口は悪いけど、伊智朗を気にかけている友達は「いい笑顔がある」と話してくれます。
しかし同じクラスメイトの卓球大好き少女宮原さんは、その笑顔が無理しているような感じを受け心配しています。順調ではないのですが楽しく暮らす伊智朗に運命の出会いがまっていました。
宮原さんが卓球の練習試合の準備の為に持ってきた卓球道具を遊びに使おうと内田君は伊智朗を誘いラケットを使いボールを打ち上げます。その時伊智朗は何かを呼び起こされたような感じを受け、そのボールを無心に打ち上げつづけます。彼と卓球は特別な関係にあったようです。伊智朗はボールの音に魅せられたのでした。
イチローの記憶とヨルゲンとの再会
ネタバレです。伊智朗は実は卓球をやっていて、ヨルゲンと言う卓球少年と小学生の頃に決勝で戦ったのでした。しかし一年半前の火災で父と記憶を失いその事で悩んでいました。
クラスメイトの宮原さんは伊智朗の笑顔が無理してると感じていました。しかし彼は運命の出会いをします。宮原さんは卓球部に属していて(お兄さんが作った部の為に)荷物をクラスに持ってくるとその時にこぼれた卓球の音に伊智朗は懐かしと記憶を呼び起こされるような気がします。
その後内田君と卓球のラケットを使いボールを上に打ち上げる遊びに夢中になり、一万回以上ボールを落とさず打ち上げていました。その事に衝撃を受ける宮原さん。そしてその卓球部の練習試合の相手は紫王館中は全国トップの中学でその中心人物はあのヨルゲンでした。ヨルゲンは伊智朗に決勝で負けて以来彼を捜していたのでした。
そして運命の瞬間は突然にきました。ボール拾いをする伊智朗とヨルゲンは偶然再会します。そしてそこで現在までの事を話す伊智朗に驚きを隠せないヨルゲン。そしてヨルゲンは伊智朗と卓球の試合をします。
初めは素人のような感じだった為に記憶を呼び起こさせる為に強烈な球を打ちます。その事で身体が反応し構えを変えると昔の動きを思い出し激しくヨルゲンと打ち合います。記憶は完全に蘇ってくるのか今後彼等の新しい物語が始まります。
感想
新人漫画家の掛丸翔さんは期待の新人漫画家です。期待度が高いのも初回連載も50ページ越えと異例の扱いです。しかしその期待に応えるように見応えのある作品になっています。チャンピオンらしい漫画も言えます。内容は通常のスポーツ漫画に記憶喪失というエッセンスを加え違った視線を与えてくれます。今後の展開にも期待が持てます。
卓球と言うマイナー系のスポーツを扱いながらも技術的な部分も丁寧な解説を加え、競技自体に興味を持たせるような描き方をしています。ライバルであるヨルゲンも記憶を呼び起こさせ自分と対戦させる為に協力する事も新しいと思えます。今後大きな展開がありそうですが、飽きずに楽しめるような作品になっています。気がめいった時や元気が欲しい時に読むと面白いかもしれません。楽しい作品です。
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