野保の部屋には、料理が上手でいつもハーブティーを入れてくれる、とても女の子らしいカノジョがいます。野保は優しい人柄のカノジョをとても大切にし、お互いを思いやっていますが、実はちょっと人とは違っていて・・・。
新感覚のヒロインですが、ほのぼのと笑える、素敵な恋愛漫画です。
「のぼさんとカノジョ?」のあらすじ
主人公・野保康久は一人暮らしをしている、ちょっとノンビリした穏やかな性格をしている大学生です。顔も悪くない野保に興味をもつ女子生徒もいますが、野保にはすでに部屋でゴハンを作って待っていてくれるような彼女がいるみたいです。部屋に帰ると料理のいい匂いがしています。
そこへ、下の階に住む女子大生・金城がいつものようにお裾分けの料理を持ってきます。野保を「命の恩人」と言う金城ですが、わかりやすく野保に好意を抱いているようです。金城は料理の手伝いをすると、野保の制止も聞かず強引に部屋に上がり込みますが、彼女の存在には気付きません。そして台所に立ったそのとき、コンロの鍋が激しく揺れ、乗っていた台所マットが引っ張られるなどの現象が起き、外に追い出されます。
なんとかごまかして帰ってもらった野保は部屋にいる彼女に話しかけます。しかし、話しかけた先にいるのは、なんと浮いているホワイトボードです。「へやにいれないで」と書かれたホワイトボードは怒っているように見えます。
実は野保の彼女とは、この部屋に取り憑いている幽霊のことでした。野保にも姿は見えませんが、世話好きな女の子として認識しており、生前の記憶がなく名前もわからない幽霊を「カノジョ」と呼びながら一緒に暮らしているのでした。
いったい、二人?はなぜ一緒に暮らしているのでしょうか。また、どんな生活をしているのでしょうか。
二人の出会い
ネタバレです。野保が今暮らしている部屋に引っ越してきたのは一ヶ月前で、前に住んでいたアパートが火事に遭ったためでした。そこには金城も住んでいて、火事の時野保が助けたことから知り合います。
幽霊が出るというため格安のこの部屋を、野保は気にせずに借りましたが、案の定出ました。物を投げつけられ幽霊の存在を知りましたが、野保はここに住み続けるためにひたすら無視する方針をとります。
何日も続くその攻防も激しさを増し、ついに耐えきれなくなり出て行こうかと考えた野保は、あることに思い至ります。あの幽霊はただ気付いてほしくて物を投げていたんじゃないかと思い、部屋に向かって謝りながら、意思疎通を図るためのホワイトボードを掲げました。
そして、喜びに震えるように揺れる空中のホワイトボードに、「ありがとう」という文字が浮かびます。それから二人の生活が始まったのでした。
「のぼさんとカノジョ?」の展開
奇妙な共同生活ですが、二人はとてもいい感じです。カノジョはとても甲斐甲斐しく、料理や掃除など、身の回りの世話を完璧にしてくれます。金城が訪ねてくるとすさまじくヤキモチを焼いたり、少しわがままなところもありますが、野保のおおらかな性格のおかげもあり、微笑ましい生活をしています。
部屋の飾り付けの趣味が合わずにケンカしたり、フツーに彼女がいると思っている野保の友達が、興味津々で部屋に遊びに来てひと騒動あったり、DVDを借りるときのお互いの趣味が違っていてとまどったり、恋人によくあるエピソードが楽しく描かれています。
そんな暮らしを続ける中、いとこの野保千夏が登場します。野保にいとこ以上に親密な感情を持っていて、それを隠さずに全面に出してくる千夏に、とうとう野保はカノジョの存在を紹介します。受け入れがたい状況をなんとか理解した千夏ですが、納得したわけではありません。
金城に次いで千里と、野保はかなりモテるようで、カノジョもヤキモチを焼いて暴れることも増えそうです。
「のぼさんとカノジョ?」の感想
この漫画の中でカノジョの姿・形はまったく描かれていません。でも、ホワイトボードに書かれる言葉や添えられている顔文字が、カノジョの明るい人柄をよく表していて、いつのまにか魅力的な表情の女の子像を感じてしまいます。
また、野保の人の気持ちを最優先に考える心の大きさが、作品全体の優しい雰囲気を作り出していて、ほのぼのと笑顔になって読めます。
姿は違えど、お互いを思いやりながら楽しく生活している野保とカノジョが、これからどういう生活を続けていくのか、ゆっくりと見守っていきたいです。
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