――エリアスが私の手を離すまでは、私はあのヒトのものです。
チセの覚悟と、エリアスを取り巻く魔術師達の暗躍が読者に明らかになっていきます。
家族になりつつある2人を、見守る者達と壊そうとする者達。エリアスの正体と気持ちを知らされたチセが、彼に告げた言葉とは?
不器用でコミュニケーションに不慣れな2人が、少しづつ寄り添っていく様子も必見の2巻です。
「魔法使いの嫁」2巻のあらすじ
チセを襲った魔術師レンフレッドは、チセをエリアスから解放すると宣言します。しかし、自分はエリアスのものだと断言するチセ。そこにチセを守ろうとエリアスが攻撃をしかけ、隻腕のレンフレッドに、その腕は誰に取られたのか尋ねます。
チセはその隙に、教会の案件を浄化にかかりました。そこでチセの見た過去の記憶では、謎の魔術師が、病弱な妻をを治そうとする村人に依頼を受けていました。魔術師は、村人に猫を薬にする方法を教えます。村人は騙され、猫をおぞましい方法で薬にするやり方を行います。
妻の幽霊は、惨劇を見たチセに自分達を消すように話しかけます。
チセは、夫婦を消さずに浄化する方法を行いました。無事浄化は終わり、レンフレッドは2人の前から去って行きます。エリアスはレンフレッドを隻腕にした謎の魔術師の存在を危惧しながらも、腕の中で眠るチセに「僕らの家に帰ろうか」と言うのでした。
帰宅した彼らのところに、妖精女王と妖精王がやってきます。2人を見に来たという彼らは、チセを癒やし、エリアスの変化を面白がりながら、2人をからかいます。
そして、レンフレッドは弟子を人質に謎の魔術師に脅されています。日常に戻ったチセは、薬や術をエリアスに習いながら、教会の厄介ごとを片付けるエリアスの手伝いも行うようになっていました。
彼らの向かった教会では、謎の魔物に襲われる事件が起こっていました。調査する内に、妙な魔物にチセは出くわします。必死に逃げる彼女を、謎の男が助けます。彼は、自分を人間だと思いこんだ黒妖犬でした。そこに、黒妖犬を魔術の素材にしようと、レンフレッドの弟子が現われます。
弟子は、謎の魔術師に脅されて、素材集めを強要される師匠を助けたいとエリアスに訴えます。そこに、謎の魔術師が登場し、チセを傷つけます。お前が人間に執着するわけない。そうエリアスに向かって笑う謎の魔術師は、何者なのでしょうか。
「魔法使いの嫁」2巻のネタバレ
ネタバレです。「夜の愛し仔」《スレイベガ》は、無尽蔵に魔力を吸収し生み出す事が出来ますが、体の耐久力は、あまりありません。過剰に魔力を吸収して生産するスレイベガは、体が負荷に耐えられなくなり、やがて停止します。
エリアスは、チセは何もしなければ3年ほどで死ぬとして、死なないようにする策を考えてあると言うのでした。
死ぬとしてもエリアスが手放すまでは共にいると笑うチセ、チセを死なないようにするというエリアス、この死に対する覚悟と考え方の違いが、人とそうでないものの隔たりを感じさせます。
「魔法使いの嫁」2巻のまとめ
スレイベガのもろさが明らかになった今巻ですが、死というものに対して、2人がどのような姿勢でいるのか、そこに2人の思いと生き様が現われました。死を受け入れ、それでもエリアスと共にいるというチセ、死は管理出来るものだとして理を曲げようとするエリアス、2人は今後どのような道を進んでいくのでしょう。
チセを買ったのは、何も持たず自分から離れられないからだとエリアスは告白しました。彼は、最初はチセにというよりは、人間に対する執着があったのでしょう。
この記憶がいらないなら壊してあげる、そのセリフに隠していた事を知られてしまったエリアスの怯えを見て取って、怖がらなくてもいいんです、私はあなたの側に、とチセは伝えます。
その後の「僕らの家に帰ろうか」このエリアスの言葉は、万感の思いが伝わってくるようです。側にいる、その事が2人にとっては何より大切で、愛の言葉に等しいものなのでしょう。
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