売り物だった15歳の少女と、彼女を競り落とした人にあらざる魔法使い。魔法使いは、弟子となった少女に告げます。
僕は君をお嫁さんにするつもりでもあるんだ――。
人間と魔法使いと妖精の入り乱れる英国を舞台にした純愛ファンタジー、堂々開幕です!
「魔法使いの嫁」1巻のあらすじ
羽鳥チセは15歳。人ならざる魔法使い、エリアス・エインズワースに競り落とされ、彼の弟子になるように決められます。イングランドの田舎で同居生活が始まり、はじめは無気力なチセでしたが、エリアスの優しさに触れるにつれ、少しづつ心を開いていきます。
ある日、尋ねてきた妖精は無邪気な様子でチセを森にさそい、彼女を騙して妖精の国へ誘い込もうとします。チセは、家族だと言ってくれたエリアスの言葉を思いだし、断ります。現われたエリアスは、妖精を追い払うと、彼女を抱きかかえながら言います。
僕は君をお嫁さんにするつもりでもあるんだ――と。
チセは戸惑い、本気にしていいのか困惑します。エリアスは、チセを弟子として知り合いに紹介するために、人間に変身してチセと共に知り合いの魔女、アンジェリカの元に向かいます。
そこでアンジェリカに魔法の使い方を少しだけ教わったチセでしたが、アンジェリカの予想以上の魔法が現われてしまいます。実はチセは「夜の愛し仔」《スレイ・ベガ》と言われる存在で、周りの力を吸収して魔力として蓄積し、大きな魔力を使う事が出来る特殊な力を持っていたのです。夜の愛し仔は、誘蛾灯のように妖精も引きつける特別な存在でもあります。
不安になるチセと、見守るエリアス。
帰宅をすると、神父サイモンがエリアスを尋ねてきていました。彼は弟子を取った事のペナルティを科すため、教会から来ていたのです。そのため、エリアスとチセは教会のよこした案件を片付けるべく、旅に出ます。
アイスランドのドラゴンの様子を見に行き、猫の集う街に出かけ、彼らは様々なものに出会います。ドラゴン、妖精、話す猫、そして魔法使い。チセは、猫の街でエリアスの過去を知るらしき魔法使いに囚われます。チセに利用価値があると語る魔法使いは、何を企んでいるのでしょうか。
「魔法使いの嫁」1巻のネタバレ
ネタバレです。「夜の愛し仔」《スレイベガ》は妖精などあらゆるものを引きつけて捉える事が出来る、魔法使いに強い素質のある存在です。それゆえに稀少であり、狙われる立場でもあります。
チセの父は不明で、母はチセの目の前で死にました。怪異を見ることができるチセは気味悪がられ、親族にたらい回しにされ、命を投げ出したいと思ったチセは競売にかけられました。チセの無気力さは、この生い立ちからきているのでしょう。
また、エリアスは他の魔法使いに「影の茨」《ソーン》という名で呼ばれてますが、エリアスの過去を知るらしき魔法使いレンフレッドは、彼に「裂き喰らう城」《ピルム・ムーリアリス》と呼びかけます。レンフレッドは、エリアスとどういう関係であったのでしょう。そして、その二つ名の意味するものは――?
「魔法使いの嫁」1巻のまとめ
この物語の要といえば、何といっても人外×少女の関係です。
エリアスは、長い年月を生きた強い力を持つ魔法使い。チセは、スレイベガという特殊な体質ですが、まだ15歳の少女。
しかし、エリアスは一目惚れなのか、はたまた他に理由があるのか、弟子にしたと思ったら、間髪入れずに嫁にするつもりだと宣言し、未来の僕の奥さんに傷が残っちゃ大変だ、おつかいがてら新婚旅行に行ってこようか、など、息をするように口説いてきます。
広い知識があり、長い年月を生きたと思われるエリアスの言動は、本当か冗談かわからない飄々としたものですが、無気力だったチセは彼の言葉に徐々に心を開き信頼を寄せていきます。
まだこの巻では彼らの関係は、弟子と師匠という域を出ていませんが、これからの関係の変化が見逃せません。人外×少女がお好きなら、ぜひご覧になってみていただきたい作品です。
この記事へのコメントはありません。