シリアスとギャグのジェットコースターのようだった1巻とはうってかわって、2巻は重くドロドロとしたシリアスが全面に出てきます。
呪術師クレイシハラとその大切な友人の過去の話は、クレイシハラがなぜ今のクレイシハラになるに至ったかを胸が痛くなるようなエピソードをもって克明に教えてくれます。
この世で僕を知るのは貴様だけ、そうクレイシハラは友人に言い残します。
そんなクレイシハラの過去を垣間見た瓦屋は、何を思うのでしょうか――。
「たびしカワラん!!」2巻のあらすじ
教え子、森をかばって入院した瓦屋は、森の献身的な介護を受けます。森は瓦屋に偏執狂的な思いを寄せているのです。熱烈な告白を受け、プロポーズまでされた瓦屋ですが、拒否します。現われたクレイシハラは、呪術師の力で森を縛り、瓦屋に一緒に地獄へ行こうと提案します。
クレイシハラを見て、何かを思い出しそうになる瓦屋。瓦屋の名前に何かを思い出しそうになるクレイシハラ。そこに復活した森が割って入り、薬品で興奮状態のまま、クレイシハラを刺します。刺されて死んだクレイシハラですが、何事もなかったように傷は消え、生き返ります。クレイシハラは、死なないのです。
その奇妙な力は、クレイシハラが子供の頃にさかのぼります。隣家の5歳年上の少年の父と、クレイシハラの父は親友で、クレイシハラと少年もまた友だちでした。
クレイシハラには妙な力がありました。虫を殺しても、舐めれば虫は生き返るのです。クレイシハラは鳥を殺しても舐めればなおると思い、実行しますが、鳥は死んだままでした。それを友だちに見つかり、家族や近所にも奇行が知れ渡ってしまいます。
クレイシハラの奇妙な息子を家に閉じ込め、誰にも会わせないようにします。クレイシハラは家族にとって疎ましく、小さい頃に殺しておけばよかった存在になってしまっていました。
それを知った友だちはクレイシハラを哀れみ、辛くなったらいつでもおいで、と声をかけます。
友だちは国鉄に就職し、表向きは平穏な日々が過ぎていきます。しかし、友だちが21歳の春、子供が出来たと同時に視力を失ってしまいます。
自分との記憶と引き替えに視力を治せる。クレイシハラは友だちにそう持ちかけますが、友だちはその申し入れを受けませんでした。忘れさせないでくれ、クレイシハラではない、石原夕はいたんだと、クレイシハラの本当の名前を呼び、クレイシハラの友だち、瓦屋一陰は泣くのでした。
「たびしカワラん!!」2巻のネタバレ
ネタバレです。クレイシハラは死にません。肉親に突き放され、周りからは正気だと思われず、生まれ変わりを期待して何度死んでも生きかえってしまいます。変わらない自分という連鎖を止めるために自決を続ける彼は、ついに死ねないことを悟り、街を出て流浪する事を決意します。
そして、クレイシハラの友だち瓦屋一蔭は瓦屋千蔭の祖父です。瓦屋は、今巻のラストで祖父の残した手記によってクレイシハラの過去を知り、クレイシハラに会わなければ、と決意します。
祖父の因縁は瓦屋をどのように導いていくのでしょうか。
「たびしカワラん!!」2巻のまとめ
クレイシハラと瓦屋の縁は、遠い過去までに及んでいました。自分の力と家族に押しつぶされようとしていた少年時代のクレイシハラのたったひとつの拠り所、それが瓦屋の祖父、一蔭でした。
「私に出来なかった事を、彼にしてやって呉れ無いだろうか」
瓦屋が読んだ祖父の手記はこう結ばれています。まだ見ぬ子孫に託した一蔭の願いが報われる日はくるのでしょうか。クレイシハラと瓦屋、彼らの行く末が見逃せません。
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