吸血鬼に関する漫画や小説は色々とありますが、この「佐藤くんと田中さん」は、その中でもかなり日常系ではないでしょうか。
吸血鬼から連想される恐ろしさはなく、周りの人間も吸血鬼と知りながら普通につきあい、恋をし、むしろ積極的に関わろうとしていきます。そんなたくまし人間達と、繊細でクールな吸血鬼の日々は、戦いや超能力がなくても、なぜか見ていて引き込まれるものがあります。
吸血鬼だって生活している。思わずそんなキャッチフレーズすら浮かんでしまう物語です。
「佐藤くんと田中さん」1巻のあらすじ
佐藤くんは吸血鬼。田中さんは、佐藤くんが転校してきた時から彼を吸血鬼だと見破っています。吸血鬼に憧れ、吸血鬼になりたい田中さんは、佐藤くんに接近し観察を続けています。関わってほしくないといいながら、佐藤くんはだんだん田中さんに絆されていきます。
佐藤くんが昔つきあっていた人の娘や、吸血鬼仲間の登場で、佐藤くんの過去もおぼろげになりつつあります。学校に通い、マジメにテストを受けて、恋もする吸血鬼の佐藤くんと、吸血鬼になりたい女子高生の田中さんの関係はこれからどうなるのでしょう?
「佐藤くんと田中さん」1巻のネタバレ
ネタバレです。田中さんの祖母は、佐藤くんが昔恋した人でした。佐藤くんは、未だ田中さんの祖母である文子さんの事が忘れられず、隙あらば連れていこうと思っています。田中さんは、亡くなった祖父の書き置きと写真から、佐藤くんが吸血鬼であるとの情報を得ています。
祖母の代わりに私を連れて行けという田中さんを、「ブサイク」と佐藤くんは言い放ちます。
しかし、田中さんはあきらめません。
そして佐藤くんを手酷くふった元カノ、アリサの娘アカシも現われ、彼女は「平和鳥報告書《ハッピーバードレポート》」を持っていると佐藤くんに告げます。それは、アリサが作成した佐藤くんの観察記録でした。彼女は別れ話を切り出した時に、それを会社に提出したと佐藤くんに告白していたのです。
廃棄したはずの報告書の存在に驚く佐藤くんでしたが、アカシは報告書と引き替えに末期がんの母親の時間を止めるよう要求します。佐藤くんは断りますが、後にアリサに会いに行きます。
「君の時間を止めてあげようか?」
「……いいの、時間は止められないのよ」
この2人のセリフは、吸血鬼と人間との隔たりと感覚の違いを感じさせます。
今後、佐藤くんは誰かの時間を止めるのでしょうか。また、それを受け入れる人間はいるのでしょうか。
「佐藤くんと田中さん」1巻の感想
佐藤くんは、吸血鬼としてかなり人間生活に適応した存在であるように見えます。学校に通い、授業を受け、テストで高得点をとり、人に恋をして紳士的に口説きます。そして、ふられて涙ぐみます。
魔力を使うわけでもなく、不老不死であること以外は、招かれないと家に入れない、川を渡れない、食事が出来ない、など、生活にハンデが多い佐藤くんが、ひっそりと世間の片隅で生きる様は、妙に応援したくなってしまいます。
佐藤くんにあしらわれてもめげずにつきまとう田中さんは、本願成就して吸血鬼になることができるのでしょうか。
お祖母ちゃん似であるらしき田中さんのチャンスを願いつつ、薄幸の吸血鬼佐藤くんが幸せをつかむことが出来るのか、続きが大変気になります。
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