新たな出会いもあり、支え合い競い合う仲間たちとのつながりにより成長する零。将棋への情熱もますます強くなる3巻です。
因縁のある対局に向けて、これまでに見られなかった零の闘争心が描かれます。挫折を乗り越えながら前へ進む姿に、心の震えが抑えられません。
「3月のライオン」3巻のあらすじ
前巻の対局後の年末、零はひどい風邪で寝込みます。心配して様子を見に来た川本3姉妹が家に連れていき親身に看病をしたおかげで、零はようやく回復し、そのまま川本家で元旦を迎えます。賑やかで心温かい正月を過ごし、零は両親と妹がいた頃の懐かしさをかみしめながら、久しぶりに深い眠りにつくのでした。
そして大きなタイトル棋戦が始まり、因縁ある棋士・後藤が登場します。後藤はA級に在位するトップ棋士であり、妻帯者ながら香子と恋愛関係にあるようで、それが発端のもめ事で零は後藤に殴られた過去があります。香子をストーカーと言い放つ後藤に、零はすさまじい闘志を燃やし、予選決勝で後藤と対局するために棋戦に臨みます。
零の熱い意気込みは、どのような結果を迎えるのでしょうか。
「3月のライオン」3巻のネタバレ
後藤との対局の前に倒さなくてはならないのは、これまたA級棋士の島田です。後藤を倒すことだけしか頭になく前のめりになっている零は、実力者であるはずの島田を軽く見定めます。対局が進む中ようやくその思い違いに気付きますが、すでに手遅れなほど劣勢となっていました。
混乱と恥ずかしさに襲われる零は、島田が何もかもを見透かした上で、それを静かに受け止めながら対局をしていたことにも気付きます。逃げ出したい気持ちを抑えながら必死に指すも敗れ、感想戦では序盤から悪手を指していたことを指摘されます。
その島田の強さと対局姿勢に完全に打ちのめされ、体調を崩すほどに落ち込んだ零に、高校のクラス担任・林田はすべてを一人で抱える零の現状を心配しながら、島田が開く研究会に入ることを勧めます。実は二階堂は島田の弟弟子で研究会にも入り、とても慕っていたのでした。零の将棋を気にかける二階堂と島田も、研究会に誘うことを考えているようです。
「3月のライオン」3巻の結末とまとめ
そして決勝戦となり、島田と後藤の三番勝負が始まります。殴り合いのような駒のぶつかりを展開する二人の将棋は、まさにお互いの人間としてのぶつかり合いのようで、見る者を圧倒しました。その第一局は後藤が制し、第二局も同じく力任せのガチンコ勝負となりますが、今度は島田が勝ち、勝負は第三局にもつれ込みます。
一方、零は足りない出席日数を補うべく、化学実験のレポートを提出することになります。実験をするために、林田は部活である理科クラブへ連れていき、快く協力してくれた部員により実験を進めることができました。また、零は初めて、学校の生徒と仲良く打ち解けることができたのです。そんな零に林田は、周りの誰かに頼り頼られながら生きていくことの大切さを諭し、零はその言葉を素直に受け入れることとなりました。
三番勝負、最終の第三局に勝ったのは島田でした。精根を出し尽くしながら勝ちを取った島田の姿に、零は感動するとともにそこに至るまでの道のりの遠さを思い知ります。そしてその道のりをともに歩きたいと思い、研究会に入れてくれるよう申し出るのでした。
悩みにつまずき、転び、立ち直るたびにどんどん視野と世界が広がっていく零の、これからの成長が楽しみです。
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