マンガトレジャー

高校デビューと言う言葉があります。それまで目立たない存在であった人物が高校入学と同時に全く違う人物となる事ですが、環境が変わる事で自身の可能性を追求しようとして180度違う自分へと変身します。このピカイチでも太郎と花子はその高校デビューに成功したかに見えますが、まだまだ前途多難です。

「ピカ☆イチ」2巻のあらすじ

待望の愛種高校に入学した任侠映画好きの太郎と花子は地味系の学生でした。理想を持って入学したものの現実は学生カーストがはびこる黒い学校だったのでした。そこで二人はイメージを変え学生改革に燃えるも黒幕の存在に気付きます。

理事長の息子であり闇の支配者として君臨する道玄道治。イケメンでいて周りを寄せ付けない雰囲気に取り巻きはビビり悪化している状況です。しかし真中光輝（成績最低のいじめられっ子）と伊吹幾（アイドル志望の美少女）が仲間に入ります。

学園浄化に進む4人を理解者である成瀬先生はまず特進クラスに入るように言います。その模試を控えた中道玄の取り巻きに罠を仕掛けるも伊吹が道玄に捕まってしまいます。直接対峙する太郎と花子。二人の主張を軽く受け流す道玄に落ち込むも学校では二人の評判は上がっていきます。

結束が強まり頑張ろうとする太郎に成瀬先生は不安な情報を持ってきます。伊吹の成績はあまり良くなく、父親が入学時に道玄の親に寄付金を渡したという噂があると伝えます。

模試が近づいた頃4人の家に謎の手紙が送られます。今度のテスト問題です。道玄の取り巻きの策略だと思いましたが、今は勉強に集中し特進クラスに入る事を目標に4人は頑張ります。

登場人物の絡みが物語の展開を面白くする

ネタバレです。2巻で登場人物の様子が少しずつ明らかにされていきます。太郎と花子・真中と伊吹。そして道玄と明らかにされることにより物語が加速していきます。勉強に疲れた花子が気晴らしに行った映画館で太郎と会いお互いの理想を確認します。

そして無事校内模試が終わったかに見えたのですが、例の模試問題の流出で持ち物検査が行われましたが花子は処分したにも関わらず鞄を何者かに入れ替えられ濡れ衣を着せられました。支持してくれた生徒の信用も失い停学処分となり落込む花子。更にその鞄は伊吹の鞄であった為に疑心を抱いていた時に太郎は自宅に来て、任侠DVDを貸します。感謝と恋愛感情のような気持ちを持つ花子。

その時何もかに拉致される花子。道玄です。それを見つけた真中は太郎に連絡をとります。連れてこられたのは道玄の自宅（屋敷のような豪邸）です。「やあ無様だね」薄笑いを浮かべる道玄にタンカを切るも多勢に無勢。とにかく広い屋敷を逃げ回ります。

仲間に連絡を取る太郎。しかし伊吹は近くに迫ったデビューイベントの為に電話に出ません。直接会いに行く真中に自分が鞄を入れ替えた事を告げます。驚きながらも二人に救われた事を話す真中に困惑する伊吹。太郎は一足早く道玄の屋敷に着き正面突破で花子の元へと向かいます。当然これは罠で取り巻きが太郎を待ち構えています。孤軍奮闘する花子と太郎。

その折道玄の元に取り巻きの一人が試験問題の策略を話すもその事に腹立つ道玄。そして花子の元へ向かいなぜ違うと言わなかったのかと問いただすも「あなたに信じて欲しいと思ってない」と言い放つ。

一方特進を倒し向かった先にはやられた花子の姿が。駆け寄り無事を確かめる太郎。そこに特進の生徒が来るがそれも感情に任せて倒し、道玄に向かおうとする太郎に彼は「やり合う気はしない」「今度からその子に遊んでもらう」と告げます。

その頃道玄の屋敷の入り口では真中と屋敷の者が揉めていました。そこに伊吹が到着します。ボロボロながらも花子救出という目的は達成し帰る4人。

停学が明けた花子は満足感で一杯でした。しかし気になるのは伊吹が姿を見せてない事でした。心の葛藤が渦巻く花子。伊吹はデビューイベントへと向かいますが、周りの冷笑やヤジに耐える彼女に母親は「見てくれる人がいる」と話します。

しかし彼女は今までの事を振り返るように「だれも見てくれなくて当然だと思う」と呟きステージへと向かいます。イベントは盛り上がりもなく終了します。その様子を愛種高校の生徒が写真で晒そうとするとそれを花子達が阻止します。そして「応援にくるって約束ですもんね」と花子に言われ涙ぐむ伊吹。

校内模試の結果発表があり太郎と花子は無事30番に入り特進クラスに入ります。そして色物扱いされる花子の横にあの道玄が座ります。彼はある企みを持って花子へと近づきます。今度は対決第2章の始まりです。

感想

展開が目まぐるしく変わる2巻でした。キャラの紹介的な1巻から大きく動き策略や恋愛感情と友情などかなり濃い内容でした。とにかく登場人物が少ないのですがそれぞれの環境を丁寧に描きつつも、同時進行で展開していくので目が離せません。

この手の漫画にありがちな恋愛描写は太郎も花子も鈍感なので弱いです。ただここで道玄の動きが気になります。花子を自分の玩具として追い詰めようとするのですが、逆に道玄を救おうとする花子に戸惑います。

そして伊吹のキャラも微妙で今後この2巻であった伏線が回収されていくのでしょうが、これからどのように向かっていくのか楽しみです。またここまでで道玄の父親が出てこないのも中々不気味です。それぞれ主要キャラの確定が出来てきた事で更なる大きな展開が待っていそうです。いきなりのダイナミックな展開に期待します。