実際の理論に基づいたトレーニングや展開とひたむきなストーリーに、読み始めたら止まらなくなる「ベイビーステップ」の3巻です。
周りの支えもあり着実に成長する栄一郎が、この巻からいよいよ飛躍の刻を迎えます。熱い試合展開と栄一郎のテニスから、ますます目が離せません!
「ベイビーステップ」3巻のあらすじ
栄一郎がコントロールの基本を教わる練習の場に呼ばれた逞は、コーチに栄一郎と試合をするよう命じられ、2人は1セットマッチを行います。
習得したばかりのコントロールと試合での経験を生かし、1ポイントを先取した栄一郎でしたが、戦略を超えた逞の実力の前になすすべもなく敗れます。眼のよさと理論だけでは及ばないものがある現実を目の当たりにしたのでした。
しかし、栄一郎はその現実から目をそらすでも絶望するでもなく、すぐさまこれからのトレーニングスケジュールを組み立てます。今はとにかく限界までトレーニングしてみるしかないという栄一郎の前向きさは、逞にもよい刺激をもたらすこととなりました。
夏休み中すべての時間をテニスに費やした栄一郎は、休み終わりに出場した試合で、初勝利を果たしさらに3回戦まで進むことができ、前に進んだ充実感をもって夏を終えます。
はるかに遠い目標に向かい、一歩ずつ確実に歩みを進めながら時は経ち、栄一郎がテニスを始めてちょうど一年後、再び夏を迎えます。舞台は神奈川ジュニアテニスサーキット。
はたして、栄一郎はどんなテニスを見せてくれるのでしょうか。
飛躍へのスタート
ここからネタバレです。この大会に照準を合わせ練習を積んできた栄一郎は、上を目指して試合に臨みます。一回戦、勝ちを意識しすぎての緊張が動きを邪魔し苦戦しますが、ノートに密かに書かれていた奈津からのメッセージを見て、自分を取り戻します。そして、従来の眼の良さに1年間のトレーニングの成果が加わった栄一郎のテニスは、その強さを見せ始めながら1回戦を突破します。
2回戦を順調に勝ち、3回戦で当たるのは第5シードの宮川卓也。7色の強打ストロークを武器に華々しい実績をもつ強豪選手です。この壁を越えるべく、栄一郎はコートカバーリング&コントロールでなんとか互角に戦います。しかし、それは宮川が栄一郎を観察するためにゲームを進めてきたからなのでした。
それに気付いた栄一郎は、前に出て戦う予想外のテニスを始め、試合を決めにきた宮川の攻撃をしのぎ続けます。平均的に成長した栄一郎のテニスには決定打というものなく、サービスをブレークされれば負けにつながる状況で、必死で粘りながら試合はタイブレイクまでもつれ込みます。
そして、2回交代のサーブとなるタイブレイクのルールを確認する栄一郎が何かをひらめきます。それは、この試合で初めて見つけた「勝つ可能性」でした。その可能性とは何か、また栄一郎はそれを生かし勝利を手にすることができるのか、決着が楽しみです。
「ベイビーステップ」3巻の感想
栄一郎が着実に力をつけての試合となり、これまでとはやはりゲーム内容の濃さが違います。あくまでもテニス理論に基づいた、キャラクターの思考がとけ込みながらの試合展開は、現実のゲームを見る以上にテニスの世界に浸れました。
また、対戦相手を含め、ここに至るまでの苦しみや努力と、テニスに対する思いが描写されていて、感動を覚えます。
これからも、さらに熱い展開と深いストーリーが続くことでしょう。早く続きを読みたいと思います。
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