長く付き合っている二人。もう結婚しないのなどと聞かれる事も多いと思います。
しかし、二人の中ではこの関係がとてもいいと思っているかもしれません。結婚が最高の結果(ゴール)という認識がないのかもしれません。
長くなったら別に結婚という形をとらなくてもという感じなのかもしれません。
さて、日暮キノコさんの話題の漫画「喰う寝るふたり住むふたり」はそんな付き合いが長い二人を題材として捉えています。お互いもう一歩先にいかない(いけない)そんな関係にもどかしさを感じながらも、とても良好な関係を築いています。日常でありそうなそんな二人に共感を覚えそうな漫画です。
喰う寝るふたり住むふたり 1巻のあらすじとネタバレ
穏やかな性格の野々山修一(のんちゃん)とサバサバ系の女町田りつ子(リツコ)は高3から付き合い始めて早10年がたつカップルです。周囲は結婚しないのと不思議がられたり、もう夫婦のようなもんだねと言います。
のんちゃんとリツコは今日も自宅でまったりとしていました。釣りに出かけているのんちゃんを除き今日はリツコは同級生と食事をしていました。その時、高校時代のハートのおにぎりを作ったというエピソードをされ、恥ずかしそうにします。
そこで出たのが“プロポーズ”でした。まだされてないリツコは少し、不満げでした。その時、のんちゃんが釣りから帰ってきてリツコの友達を送りました。帰りの車中、リツコはある紙袋を見つけ、中身の佃煮を大層喜びました。
その時、心ここにあらずという感じののんちゃんに「話聞いてる」と強めに言うと、のんちゃんも強めに「今うんって言ったよ」と語気を強めるのでした。家に帰っても冷戦状態で、大人になれない二人をリツコは感じていましたが、仲直りに朝ごはんのおにぎりを作るとのんちゃんから“ありがとう”のメールが入りました。
のんちゃんの釣りの一日です。朝ご飯に憧れを持つもリツコは朝が弱いタイプでした。そして会社の先輩と釣りをしていると、「結婚しないの」と聞かれます。その時のんちゃんは去年のクリスマスを思い出していました。
さりげないプロポーズとして指輪を贈り、さらに「俺たちももう10年だし、けじめっていうかな」という言葉を発しますが、浮かれたリツコの耳には届いていません。そして、返事を待つ事2ヵ月。そんな思いを持ったまま、釣りから帰ってくると、友達とリツコの会話が外に漏れていました。
その時聞こえたのは、まだプロポーズされてないというリツコの言葉でした。唖然とするのんちゃん。“俺の気持ちが伝わってない”ショックを受けます。そして友達を送り、帰る車の中でもイライラは募り、“話を聞いてないのはそっちだろ”とリツコにあたります。
そんな中、一人ソファに横になっていながら、自分達大丈夫かなと考えているといつの間にか寝ていて、朝寝坊をしてしまいます。そして慌てて出ようとすると、テーブルの上にはおにぎりが置いてありました。感動するのんちゃん。そして、そのおにぎりを食べながら泣いてしまうのんちゃんでした。
職場の先輩から合コンに興味がないかと聞かれ、迷うことなく長年連れ添った彼女がいるからと笑い飛ばしていた夜に、リツコが親友の新沼から週末合コンに誘われたと言われ、「人生勉強だから」と送り出します。
少し後悔するのんちゃんですが、リツコがオシャレをするなど楽しそうにする姿に複雑な心境でした。リツコが合コンに行った後は空虚の部屋の様で、何もする事がないのんちゃんはメールをするもリツコからの返信はありません。良からぬ想像だけが頭をよぎり、食事に出るも、何か満たされない気持ちのままでした。
そんな時酔っ払って帰ってきたリツコは“楽しくなかった”と言い、少しほっとしながら、のんちゃんはリツコの相方になった自分を想うのでした。
一方合コンの日のリツコは、のんちゃんの余裕で送り出す姿に対抗心を燃やすようにおしゃれに気合を入れます。そして、合コン会場で“彼氏持ちは隠して”と言われ緊張感が高まります。
そして相手の紹介も頭に入らないまま、合コンは進んでいきます。リツコは男の人達の動作を見ながら全てのんちゃんと比べていきます。そんな気持ちもあり、あまり合コンは楽しめなくなっていきます。
二次会のカラオケもキャンセルして帰ろうとすると、メールの交換を頼まれます。その時、のんちゃんからの多くのメールに気付きます。その時、リツコは嘘のメールを教えて家路を急ぎます。“楽な方へと人間は行くけど、別に悪い事ではない”と思います。
リツコは自由気ままな弟の智の結婚の為に、実家に帰ります。気が向かないリツコ。その理由は父親との関係にありました。家を勝手に出ていく前も父親とは仲が良くなかった事もありました。
智はテンション高めで家族もお祝いムード一色でしたが、父親とは気まずいままでした。煙草を吸おうとするリツコに母は外で喫うように言うと、そこには父がいました。重苦しい雰囲気のまま、時間が過ぎていきますが、父がのんちゃんと幸せにしているかと尋ね、幸せだと答えると“それなら安心した”と呟きます。
そして、のんちゃんと電話で話し一泊する事を伝えると父に代わりました。
一方、のんちゃんも実家に帰っていました。実家に向かう途中、山奥に引っ越した経緯を思い出していました。豪快な性格の妹のアズサも帰ってきました。のんちゃんの実家はみんな仲良く賑やかに夜は過ぎていました。
“子供を作れ”と家族に言われ少しうんざり気味ののんちゃんでしたが、母親に言われた“男の10年と女の10年は違うの”という言葉にリツコの事を思い出して考えていました。
長野の星空を眺めていると、リツコから電話が入りました。以心伝心と思う間もなくリツコの父と話しをして、最後に「これからもリツコをよろしくたのむよ」と言われ、深く考えるのでした。
6月はのんちゃんとリツコの誕生日でした。プレゼントのネタもなくなったので、別行動で二人のプレゼントを探す事になりました。
まずはリツコですが、服を選びに店に入るとイケメン店員に緊張して決めかねていたのですが、のんちゃんに似合いそうな服を決めます。そして、時間が余った先で喫茶店で休憩しながらたくさんの男の人を見ながら、“なぜ、のんちゃんを選んだのか”考えていました。思案した挙句のんちゃんの姿を見た時、一緒に住んだ理由“デートの後にバイバイするのが嫌だった”という事を思い出し、安堵感に包まれました。
次は、のんちゃんです。リツコの為に選びますが、直感を信じ変な置物を二つ買い満足げに歩いていると、ある女性に声を掛けられます。元カノの生田でした。すっかり綺麗になった生田にドキドキしているのんちゃんにリツコのプレゼントを一緒に捜すと言います。
女子力の高い生田は女性が好みそうな物を選んでくれますが、のんちゃんは違和感を覚えます。“真のプレゼントを選ぶ”そんなリツコの言葉にのんちゃんは生田の気遣いを断り、自分で探すと話します。
その言葉に「町田さんは幸せだ」とその場を去ります。プレゼントを選びリツコを見つけた際に安堵感にのんちゃんも包まれるのでした。
そして、プレゼント交換でのんちゃんの変なプレゼントをリツコは笑って喜んでくれました。
生田はのんちゃんの元カノです。のんちゃんと別れた後は長続きもせず、短距離のような恋を重ねてきました。しかし、のんちゃんと別れた時は大泣きしました。今日も彼と別れたばかりでした。そんな時、のんちゃんと再会してあの時のようにはしゃいでいましたが、のんちゃんの一言にもう終わったという気持ちが押し寄せてきました。二度目の失恋をして、今度からはゆっくりと歩こうと思うのでした。
感想として
この漫画の面白い所は、のんちゃんの視点、リツコの視点と分かれて描かれている点です。むかし、映画で二人称で描かれた映画がありましたが、男女の本音を描く手法は結構斬新で読むほうも楽しく読めます。
当然、共感できる部分、そうでない部分あると思いますが、細かく描かれる事で表現が多彩になっていきます。ほんわかとした雰囲気の中に現実的な問題を置く事でリアルさを醸し出しているのは現代漫画といった感じです。
今後、二人の物語はどこにいくのでしょうか。当然結婚というゴールも出て来るでしょう。次巻が非常に楽しみです。元カノの存在も大きく描かれてないのはそのような波風を起こさない漫画で案外安心して読むことが出来ます。
次巻楽しみです。
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