マンガトレジャー

一流プレーヤーと言えば生まれ持った才能が人とは違う人が多いですが、それにも増して人に見えない努力も陰でたくさんしてきています。

しかし一瞬のひらめきなど常人には理解できない事をやり遂げるのが、一流と言われる証かもしれません。環境が悪くてもそれをプラスに変える位の才能があるのかもしれません。

さて、小林有吾さんの話題作「アオヤシ」は地方ながら自分の能力で打開していくサッカー漫画です。青井と一緒に夢を見る事が出来るサッカー漫画です。

アオアシ1巻のあらすじとネタバレ

愛媛県中学サッカー大会で弱小公立中双海浜中は強豪梅津寺中と四国大会出場をかけて熱戦を繰り広げていました。当然梅津寺中は攻勢をかけていましたが、変な髪形をしたテンション高めの10番に後半に入ると3得点をマークされるなど逆に劣勢に回ります。

その10番の名前は青井葦人。強烈な個人技を武器にチームを引っ張りあと少しで勝利という所まできました。その時小学生の時のチームメイトという男に葦人は呼び止められ、「サルにうまく芸を仕込んだな」と仲間を侮辱されます。そのすぐ後でした、鈍い音と共に葦人はその男に頭突きをして一発レッドで退場します。

そして、葦人が抜けた双海浜中は残り5分で逆転を許し負けてしまいます。その光景をピッチの外で見送る事になりました。勝ち気な母親紀子に怒られ、高校の推薦も棒に振ってしまいます。

仲間達の涙を見ていたたまれなくなった葦人は堤防の周りを狂ったように走っていました。その様子を見ていたある男がいました。ひょうひょうとした態度で葦人に近づくと、走る事を止めさせました。その言葉を聞きながら倒れ込む葦人でした。

葦人は疲れて少し眠っているとその話かけた男が砂浜で凄いボールさばきを見せていました。その男は挑発するように“この技術があれば後3点取れていた”と言います。その言葉に火が点いた葦人は、一心不乱にそのボールさばきをマスターしようと時間を忘れて練習します。

そんな葦人をよそに紀子と兄瞬は葦人が帰ってこない事に心配していました。更にチームメイトも必死に突然消えた葦人を捜していました。そんな時葦人の家に暴言を吐いた相手チームの少年が正直に謝罪をしに来ました。

一方、中々ボールさばきをマスター出来ない葦人に男は“あてが外れた”と思い、最後に試合の中の得点シーンを聞くと、驚く事に葦人は全ての選手の配置を覚えていました。驚く男を無視するように、葦人は必死に練習を続けました。そして朝が明け男が目を覚ますと、葦人の大声が響きました。

なんと葦人はボールさばきを習得していたのでした。疲れ果てた葦人の前に立ち、男は“東京シティ・エスペリオンFCユース監督福田達也だ”と名乗り、セレクションの案内書を置いて帰りました。そして最後に“世界に連れて行ってやる”と言い残しました。

そしてその3日後、葦人は東京にいました。エスペリオンFCのユースセレクションを受けに来ていました。当然、紀子は家庭の状況を考えて反対しました。しかし、瞬が葦人の為に力になってくれました。更に葦人に声を掛けた福田の事を話しはじめました。福田は実際レジェンド級のプレーヤーで海外でサッカーをしていたのですが、ケガの為に引退した事などを話しました。そして、瞬からもらったお金を手に東京へと向かったのでした。

初めての東京、そしてエスペリオンFCの壮大なサッカー施設に圧倒されている葦人の前に突然一人の女の子が現れます。花と呼ばれる少女は福田監督の妹でした。

86名のセレクションを受けるメンバーの中には全国的に大きな実績を収めた選手もいました。そして、その受験生の前に立った福田は驚くべき事を言います。“この中から合格者は出ないかもしれない”その事に反論する葦人に福田はユースからトップチームの仕組みを教えます。それに追い打ちをかけるように“ここのメンバーは欲しい選手ではなかった。”厳しいプロの世界に驚く暇もなくセレクションの1次試験が始まります。

順調にセレクションをこなしているかのような葦人でしたが、周りの実力に呆然とします。そんな葦人に声を掛ける人物がいます。その男の子は大友栄作と名乗ります。フレンドリーな雰囲気と弱気な感じがする男の子でした。弱気になる栄作をよそに葦人はこの後のミニゲームを楽しみにしていました。

そしてフィジカルテストも終わり、7分のミニゲームは始まりました。葦人は栄作と同じチームとなりました。喜ぶのも束の間、栄作は“不公平だ”と呟きます。なぜなら葦人達の対戦相手は全国でも屈指の選手達でした。その予想通り開始早々3点を失います。

独りよがりになった葦人に栄作は不満をぶつけます。圧倒的な実力差に成す術もない葦人達。その光景を手伝いに来ていた花が兄の達也に疑問をぶつけます。しかし、達也はその事に反論するようにここで見たいのは“インテリジェンス(思考力)”と言います。

各コーチが葦人の実力を疑い始めていたその時、一気に走り出した葦人は自陣ゴールでボールをキープし始めます。意味のない事をやっているかのような葦人の行動に仲間も呆れていた時に葦人の意図に気付いた栄作がチームメイトの金田に前に走るように指示を出します。そして、その瞬間葦人の蹴ったボールはオフサイドラインぎりぎりで金田に渡り、そのままゴールを決めました。そのゴールと共にセレクションは終了しました。

セレクションの終わった選手達はチームの食堂で食事しながら結果を気にかけていましたが、葦人はそんな事はお構いなしで食べていました。一方、コーチ陣は最終選考で揉めに揉めていました。順当と思える選考もあったのですが、栄作と葦人の評価は別れました。

そんなコーチ陣の苦悩をよそに食事を続ける葦人は花と会いました。花は葦人に考えないで食べ続ける葦人に苦言を呈していました。そして最後のパスを褒めながら“人間は考える葦である”と言う言葉を贈ります。

そして、最終選考の結果が伝えられました。得点を挙げた金田、栄作も選ばれました。最後に名前を呼ばれたのは、葦人でした。これで1次試験合格者11人が決まりました。大喜びで愛媛で待つ瞬に報告をします。そして最後のテストは11対11の試合になると予想した葦人は合格者全員でミーティングをします。

そして、葦人の予想通り試合形式で最終試験が行われるようでした。しかしその相手は予想を超える強敵でした。

感想

見所の多い漫画です。一気に読み進める程のスピード感が面白いです。ちょっと変わったサッカー漫画です。まず、舞台が愛媛という変わった場所から始まるのも何か意味があるのでしょうか。そういえば日本代表の長友選手も四国でした。

この漫画の面白さは自分勝手に見える葦人が、たくさんの人々の支えによって大きく成長しようとしている過程を見る事です。自分勝手に見える葦人ですが、実は繊細に周りを見ているという事が面白いです。

そして、もう一つサッカーファンも楽しませる内容が往年の名選手の名前が出て来る事です。今だったらメッシとか出てきそうな所を往年の名選手ファンバステンなど今のファンが知らない名前が出て来るのは、ちょっと楽しみです。

今後セレクションが終わり、どのようになるのか楽しみです。試合の迫力を出すタッチも気持ちいい程です。次の話が楽しみです。