配達するという事は無事に預かった物を届けると言う至ってシンプルな作業です。そんなシンプルな事が人に対して怒りや悲しみ、喜びや楽しみまでも届けてくれます。
そんないろんな人の想いが詰まった届ける仕事はもっと賞賛されてもいいかもしれません。中々そんな素晴らしい仕事をしている人々に対して賞賛する事はないです。たまにはそんな人達に目を向けて欲しいです。
そして今回の漫画「竜と勇者と配達人」はそんな配達人を主人公にした漫画です。辺鄙で危険を顧みず配達する姿は必死な分コミカルです。ファンタジーでありながら人間臭い漫画です。
竜と勇者と配達人1巻のあらすじ
皇帝都市の「巨人の指」と呼ばれる険しい崖の上に人嫌いの魔術師の先生が住んでいました。その先生は土地の問題で役人たちと揉めていました。そこにハーフェルと呼ばれる配達人の吉田という真面目そうな吉田という女性が手紙(役所からの督促状)を届けようとしていました。
その崖は急な角度でとても人が登れるような場所ではないのですが、吉田は任務の為に危険を承知で登り先生の元へと向かいました。しかし仕事とはいえ危険な場所での作業で愚痴の1つや2つも出てきました。そんな時に突然大きい鳥(グリフォン)が出てきて、吉田は必然的に死を覚悟しました。
そして、吉田はこれまでのいきさつを思い出していました。それはオズワールという魔術師の元に土地の事で揉めているので、手紙を届けるという単純な事だったのですが、その場所と人物に多くの問題があったのでした。予想以上の難所に強い後悔に捉われる吉田でした。
そしてやっとのことでセーブポイント(死んでも回復できるという修道院)に辿り着いた吉田は体力を回復させようとしたのですが、お金を高く吹っかけられます。度重なる交渉の末、回復を諦める吉田でした。そして疲れた体のまま、目的地を目指します。
吉田は果たして無事にオズワールへと手紙を届けられるのでしょうか。
竜と勇者と配達人1巻のネタバレ
ネタバレです。困難な状況を乗り越えて吉田はオズワールの元へとたどり着きます。オズワルドは、想像通り頑固で偏屈な男で必死な思いで届けた吉田の手紙をあっさりと破り、グリフォンに食べさせました。
これには理由があり、オズワールはこの土地に愛着があり、更に自分でこの土地をグリフォンと守ってきたという自負がありました。そして都合のいいように簡単に手渡すような役人の勝手さに腹を立てていたのでした。
しかし吉田は任務を遂行するためにオズワール相手に一歩も引かない構えでした。しかし彼は吉田を相手にもしませんでした。吉田は一度セーブポイントに戻り、お金の交渉をして自分の体力を戻しました。そして3時間後オズワールの元へと帰ってきました。彼女の手の中には、先ほどオズワールが破いてグリフォンに食べさせた手紙を握っていました。
オズワールはその事に驚きました。吉田はひそかにグリフォンの巣から回収してきたのでした。そして、熱くこう語り始めました。“オズワースの事情は分かるし、土地がどのようになるかは自分には関係ない。ただ自分の任務を遂行する事が吉田にとっては大事だ”
その吉田の律義で責任感ある態度にオズワースがとったのは、自分の知り合いで土地の事に詳しい者の所に手紙を届ける事と法廷で話をする事でした。
吉田の仕事に対する姿勢が人の心を動かした瞬間でした。
感想
「竜と勇者と配達人」はほのぼのファンタジー系といった感じでしょうか。真面目な配達人吉田を中心として展開されるこの漫画は、冒険ありアクションありといった感じで1巻だけでも結構なボリュームがあります。
そして、タッチも今風の感じでゲームのロールプレイング的な感じで読みやすく、先へ先へと読み進めます。また吉田のキャラが真面目で融通がきかない頑固な所があり、そして最後まで責任を放置しない所で色々なトラブルも起きているのですが、その面があるからこそ人々の気持ちが動いて最後の吉田の説得を聞いてくれているのでしょう。
ファンタジーが苦手な方でもすんなり読めるようなヒューマン漫画というジャンルがあるのか分かりませんが、人の温もりを感じる事が出来る漫画だと思います。疲れた時などに読んでみると癒されそうです。
おまけの4コマ漫画もちょっとした息抜きで違った楽しみがあります。
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