前巻の血なまぐささとは打って変わって、今巻では捜査官と喰種達の私生活に焦点があてられます。
しかし穏やかな中にも、暗躍をする者達の姿が見え隠れして、これからの嵐の訪れを予感させます。
そして、前作「東京喰種」で金木研と深い関わりにあったあの喰種が、佐々木と接触をとるため、ついに動き出します。
「東京喰種:re」4巻のあらすじ
佐々木とクインクス達の住む家で、クリスマスパーティーが開かれます。集う捜査官達は、楽しい一時を過ごします。そんな中、佐々木に届く喰種の仮面のような謎のクリスマスプレゼント。同封されていた本には、金木研へのサインが書かれていました。
そして時は流れて4月。佐々木とクインクス達は、オークション潜入と喰種の掃討に貢献した事で皆昇進をします。
しかし、佐々木はオークション以降、記憶の揺り戻しと自分の中の金木の声に苦しんでいます。捕えられたフエグチと言葉を交わす佐々木は、彼女の中の金木の思い出に戸惑い、彼の中に喰種に対する迷いが生まれます。
そして、月山家の使用人であるカナエは、廃人同様の主人、月山習を助けるために佐々木の情報を月山に渡します。気力を取り戻した月山は、佐々木に何度も接触を試みますが、過去の記憶のない佐々木は月山の正体に気がつくことはありません。
そんな折、CCGのサイトに喰種の拷問動画がのせられます。喰種をあぶり出すために公開されたこの動画を見て、月島は拷問されている喰種――月島家の使用人ユウマの救出を試みようとします。
果たして彼の作戦は成功するのでしょうか――?
「東京喰種:re」4巻のネタバレ
ネタバレです。マスクを送りつけたのは、前作でも登場した喰種「ウタ」です。ウタはピエロという喰種から成るCCGの敵対組織の一員ですが、まだこの組織の目的は不明で、ウタの真意は見えません。
彼は喫茶店:reで、親しげに店員と話し、佐々木のことをこう語ります。
「ぼくにとって彼は、今でも特別なお客さんだよ――」
そして、ウタは送り先を見てマスクを返却に来た佐々木に、送りつけたマスクをプレゼントし、それをきっかけにクインクスのメンバーのマスクをオーダーメイドするようになります。
また、月山のために獲物を探すカナエは、ドイツの喰種ロゼヴァルト家の生き残りであり、赫子の痕からCCGにロゼヴァルトとの血縁関係を推測されて徐々に追い詰められようとしています。
月山を思う余り、クインクス達と直接対峙するカナエ。
瓜江に返り討ちにされ、彼は素顔を見られてしまいます。それは今後どのような波紋を広げるのでしょう。
そして喫茶店:reに現われる月山。謎のウェイトレスの少女に、月山は旧知のごとく挨拶をします。
「東京喰種:re」4巻の感想
戦いに終始した3巻に比べ、4巻は捜査官と喰種の日常が描かれます。和やかにクリスマスパーティーを楽しむ捜査員達。喫茶店で珈琲を飲みながら語らい、豪華な自宅で優雅にお茶を楽しむ喰種達。
喰われる者と喰う者、駆逐する者と駆逐される者という差違はあっても、彼らは共に穏やかな生活を楽しみ、仲間との交流も持っています。
彼らは同じように、心を持ち、他者への愛情や憎しみを感じる存在なのです。
また、手段は凄惨なれど、月山に捧げるカナエの忠誠と献身は、真摯で必死で、それゆえに読者の胸に訴えるものがあります。
そして、気力を取り戻した月山ですが、金木への執着ゆえに、彼は佐々木への接触を頻繁に試みようとします。
裏で行われるカナエの行動と、CCGに囚われた月山家の使用人の存在もあわせて、これからの破滅の予感がひしひしと漂ってきています。
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