人間オークションに集まった喰種達と、彼らを討伐するために続々と参入するCCGの捜査官達。
今巻は、彼らの凄惨な全面対決に始終します。前作「東京喰種」で佐々木と深い関わりのあった喰種のある行動をきっかけに、佐々木が過去の自分と向き合うにいたり、物語は大きな転換を見せます。
「東京喰種:re」3巻のあらすじ
オークション会場の喰種を掃討するため、集結する捜査官達。会場のあちこちでは、喰種と捜査官の血で血を洗う戦いが繰り広げられています。
そんな中、CCGの元捜査官であった滝澤は、仲間であったはずの捜査官を次々殺し、喰らっていきます。佐々木に襲いかかる滝澤ですが、佐々木を追い詰めた時、仲間であるはずのアオギリの樹のメンバー、フエグチに阻止されます。
滝澤と戦い、傷つきながら必死に佐々木を守ろうとするフエグチを見て、佐々木は自分の中の金木研を受け入れます。
また、ナッツクラッカーは不知と才子の活躍により倒され、クインクスの能力を伸ばす手術を受けた瓜江は、新しい力を使いこなせずに精神を壊していきます。そんな彼を救ったのは、傷つけられつつも彼に寄り添おうとする六月でした。
瓜江と六月を害そうとするビッグマダムの前に、鈴屋班が立ちはだかります。
ビッグマダムに育てられた過去を持つ鈴屋は、ひどい虐待を受けつつも、一緒にいた時の優しい思い出も忘れられず、ビッグマダムに恨みがないことを伝えます。それを聞いた鈴屋班の面々は、鈴屋へのビッグマダムの罵倒の言葉をさえぎり、ビッグマダムを切り捨てるのでした。
そして最後に現われた、CCG最強の捜査官であり、死神と呼ばれる有馬貴将。フエグチに向かう有馬を佐々木は制止し、フエグチの所有権を主張します。
かくしてフエグチはCCGに拘束され、掃討作戦はCCGの勝利に終わりました。
「東京喰種:re」3巻のネタバレ
ネタバレです。滝澤は、金木と同じくアオギリの樹の科学者、嘉納により隻眼の半喰種にさせられています。
滝澤は植え付けられた赫子によって、佐々木とも互角以上に戦うことができますが、精神が非常に不安定で凶暴な人格へと変貌してしまいました。
また、佐々木を助けようとしたフエグチは前作で金木研の仲間であったヒナミであり、自分を庇うヒナミに、佐々木は怖れていた過去の自分、金木研の力を使う覚悟を決めます。
金木研と向き合い、真実の自分を受け入れ始める佐々木。
佐々木は「金木研」を取り戻せるのか、それとも、記憶は戻らないままなのか、佐々木の過去を知るヒナミの存在もあり、今後の彼の動向は見逃せません。
「東京喰種:re」3巻の感想
敵味方入り乱れる今巻は、喰種と人間達のはき出す慟哭や悲哀、愛情といった生々しい感情が、鮮やかに描かれています。
喰種のナキは自分を庇って死んだ部下達に、号泣します。前作で比較的出番の多かったキャラクターが退場する様は、ナキの嘆きようもあわせて、喰種が非情な化け物というだけではない、心を持った存在だということを強く読者に印象づけます。
また、元人間であった滝澤が半喰種になった後の精神の不安定さと残虐さにより、喰種より化け物らしく描かれているのも、人と喰種の境界の曖昧さをうかがわせます。
他には同僚である黒磐に嫉妬するあまりに暴走する瓜江、彼に寄り添う六月、自分を育てた喰種ビッグマダムを恨めない鈴屋、鈴屋を慕う鈴屋班の部下達、と前作では敵として描かれていた喰種捜査官達の交流と情が、表現を抑えて淡々と描かれていきます。
ヒトを超えた異能の集団として死と隣り合わせに生きつつも、心を持つ喰種と捜査官達。彼らの戦いの行方は今後どうなっていくのでしょうか。
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