美形兄弟のアキとハルが経営する仁藤香堂分店には、反魂香がある――。
焚くとその煙の中に会いたい死者の姿が現われ、言葉も交わせるという反魂香。
えみるは、死んだ祖父の言いつけで仁藤香堂分店に香木を持ってやってきます。そこで彼女は、反魂香を卸していたのは祖父だと言うことを聞いて――?
漫画「ラストノーツ」1巻のあらすじ
仁藤香堂分店には、焚くと死者と話が出来るという反魂香があるという噂があります。
そしてやってきたのは元グラビアアイドルで、現在は女優に転身した倉沢ナオミ。彼女は、海外の有名監督の映画に出演も決まっています。彼女は幼なじみの草尾忍から、仁藤香堂分店に預けてある物があると言われ、店を尋ねてきたのです。忍が預けていた物は、反魂香でした。
しかし、忍が店に渡していたナオミの写真は、今のナオミとは別人でした。思わず整形と口走ってしまったアキに怒ったナオミは、反魂香を受け取らずに店から出て行ってしまいます。
そして映画の撮影に四苦八苦しながら監督の要望に応えようとするナオミは、顔が良いだけの女優に嫉妬を受けます。体でたらしこんだと蔑む女優ですが、ナオミは女優を目指してずっと努力をしてきていました。見事監督の期待に応えたナオミに、女優は苛立ち、その時にナオミの荷物から昔の写真が落ちたのを発見します。
その写真をリークされ、整形疑惑が広まったナオミでしたが、女優が整形を監督に言いふらすも、監督はだから?と気にしません。ナオミの心に浮かぶのは、昔聞いた懐かしい声でした。
姿勢が悪い、そんな声じゃ聞こえない、笑って、と彼女を叱咤する幼なじみの声を思い出し、ナオミは笑います。そんなナオミを見ながら、監督は人を引きつけるナオミの資質を感じるのです。対して、顔だけ女優には厳しい目をおくります。
そして反魂香を取りに来たナオミは、煙の中に去年死んだ幼なじみ、忍を見ます。彼がナオミを叱咤してくれたおかげで、ナオミは整形せずに美しくなれ、女優としても成功することができました。自分の気持ちを打ち明けられなかった忍を前に、ナオミは泣き続け、忍は僕が磨いた美しい宝石だと、煙の中からナオミに口づけるのでした。
漫画「ラストノーツ」1巻のネタバレ
ネタバレです。仁藤香堂分店を尋ねてきた薄汚れた少女、えみる。彼女は亡くなった祖父の言いつけで香木を店に卸しに来たのです。そこでハルは、えみるに反魂香の事を聞きます。反魂香を店に卸していたのは、えみるの祖父だったのです。
しかし、えみるは何も知らず、帰ろうとしたえみるは倒れ、昔の夢を見ます。美しかった母親に似たえみるは、村では浮いて爪弾きにされた存在でした。
気がついたえみるは、ハルとアキが自分の事を話しているのを聞いてしまいます。身寄りがないこと、そして反魂香の手がかりを知っているかも知れないということ……。えみるは二人と暮らすことになり、殆ど一人で暮らしていたえみるは、皆と一緒の嬉しさを感じます。
そしてアキは再びえみるに反魂香の事を聞きますが、えみるは何も聞かされていません。ですが、アキ達が親切にしてくれるのは反魂香のためで、知らないと言えばここにいられないと思うえみるは、思わず聞いたと嘘をついてしまいます。
しかし、一緒に暮らし、優しくされるうちに、えみるは自分のついた嘘が苦しくなっていきます。また、男好きされそうな外見だと客に言われた事もえみるのトラウマを刺激して、えみるは荷物をまとめて家を出て行ってしまいます。
家を出たは良いものの、えみるは息苦しい村に帰る気にならず、河原で膝を抱えるばかりです。そこに駆けつけたのはアキでした。
自分がいることでアキ達に迷惑をかけたくないと一緒に帰ることを拒否するえみるは、反魂香のことは知らないとついに打ち明けてしまいます。しかしアキはそれが目当てで引き留めるわけではない、俺たちじゃ居場所になれないかとえみるに尋ねます。
店に帰った二人は、反魂香を焚きます。出てきたえみるの祖父は、えみるの母が生きていること、そしてお前達が知りたい事は村のえみるの家にあると告げて消えてしまうのでした。
漫画「ラストノーツ」1巻の感想
反魂香とは、死で隔てられた二人が思い合って呼ぶ奇跡をおこすものです。
贈る側と受け取る側が両想いでないと機能しないという反魂香は、「死んだ後もあの人に会いたい」「死んだあの人に会いたい」と、お互いの気持ちがなければ思いは叶いません。
それゆえに、女優のナオミと彼女の夢を応援し続けた忍、祖父は自分を嫌いだと思いこんでいたえみると事情を話せなかった祖父など、死んだ後でやっと打ち明けた本当の気持ちの切なさは、読者の心を強くうちます。
これから反魂香の謎と、えみるの家族にまつわる謎などが明らかになるでしょうが、やっと温かな場所を見つけることができたえみるが、その居場所をなくさないことを祈りつつ、彼女たちの行く末を見守っていきたいです。
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