病気というものは、自分でも病気にかかっていると気づきづらいもの。ましてや、子供は病気に気づかず、ひとりで不安を抱えてしまうこともあります。
体の不調を自分の頑張りが足りないせいだと思い悩んでいた野田良祐は、校医牧野の診察で、自分の病気に気がつきます。
悩みから解放された彼は、再び笑顔を取り戻したのでした。
漫画「放課後カルテ」2巻のあらすじ
野田良祐は、勉強の成績は良くないのですが、努力をして出来るようになろうと自分ながらに頑張っています。そんな良祐は、校医の牧野に勉強を教えてもらおうと保健室にやってきます。
文句をつけながら良祐に算数を教える牧野。良祐は真面目に授業を受けていますが、気が弱く、授業を聞き取ることが出来なくてもそれを先生に言えません。
そして、良祐は授業で逆上がりをしようとして、耳鳴りがすることに気づきます。耳鳴りはすぐ消えたのですが、鉄棒を握った時に良祐は違和感を感じ、踏み切った瞬間、鉄棒から落ちてしまいました。
グラグラする、と自分の異変に気づきながら、良祐は自分が下手なせいで鉄棒ができなかったと落ち込みます。
鉄棒を練習する良祐は、友達に鉄棒の次はサッカーを練習して、上手くなったらチームにいれてやると誘われます。良祐は嬉しくて、もっともっと勉強も運動も頑張ろうと張り切ります。
努力する良祐に、教師篠谷は心配して声をかけます。その時、良祐は虫がいると言いだします。良祐の異変に、篠谷は牧野に相談します。牧野は、良祐の書いた偏った文字と、耳鳴りに注目します。
そして耳鳴りに苛まれる良祐は、ついに吐いて倒れてしまいます。良祐を助け起こした牧野でしたが、良祐は「頭の中に虫が……」とつぶやきます。良祐に起こった異変の正体とは――?
漫画「放課後カルテ」2巻のネタバレ
ネタバレです。嘔吐を起こす回転性のめまい、そして低音性の耳鳴りから、牧野は良祐をメニエール病だと診断しました。病院で検査をうながす牧野に、良祐は「できないのは全部僕のせいだって思ってた……」と泣き出します。
そんな良祐に友人は、しんどくても頑張る良祐はスゲー、絶対なんでもできる奴になるぜ!!と、良祐に笑顔をみせ、良祐は驚きます。
検査結果は、やはりメニエール病でした。頑張っていた良祐に、良祐の母も息子の頑張りを認めて早く治そうと励まします。
その後、良祐は笑顔をよくみせるようになり、友達ともたくさん遊ぶようになったのでした。
その他、アレルギー性紫斑病の生徒や、外傷で肺に穴が開く外傷性気胸など、牧野は色々な生徒の体の異変を診療します。自分の不調に気づかない、不調を知っても隠すなど、子供の体調不良に対する受け止め方は様々です。しかし、どんな生徒の異常も見逃すことなく、牧野は自分の職務を果たし続けます。
漫画「放課後カルテ」2巻の感想
病院に来る患者とは違い、子供は自らの体調の異変に気づくことがなかなか出来ません。ぶっきらぼうに見えても、きちんと子供を見つめ、異常を見つけてくれる牧野は、校医として得がたい存在です。
彼の過去は、今巻のラストで少しだけ明かされ、過去に牧野に診察されていた彼を慕う幼い入院患者が出てきます。その様子から牧野が良い医者であったことが伺えるのですが、なぜ彼が産休代理の校医になったのかは、まだ謎のままです。
「生きたくても生きられない人間がいる中で命を軽々しくとらえるな」
牧野のこの台詞には、彼の強い思いがこもっているように感じられます。放課後カルテにはまだ続巻があり、彼の事情は徐々に解き明かされていくことでしょう。
子供に目を配ること、子供の気持ちに気づき、言いたいことをしっかりくみ取ることの大切さをあらためて気づかせてくれる「放課後カルテ」は、広く皆さまにおすすめしたい良作です。
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