お金があるということは素敵なことですが、人生はそれだけで幸せになれるものでしょうか?
平凡な大学生の高遠恵は、知り合いに、時給一万円の数学の家庭教師の紹介をされます。法外な時給で教えることになった少女は、なんと総資産170億を稼ぎ上げたデイトレーダー、藤岡紫でした。
恵と紫の平凡×非凡のデコボココンビは、お金を稼げることと、幸せはイコールではない、と感じさせてくれます。
「ビリオネアガール」1巻のあらすじ
バイトを探していた平凡な大学生、高遠恵は、親戚の高遠教授から数学の家庭教師のアルバイトを紹介されます。時給一万円の破格の給料に、恵は警戒しつつも、教授は半ば無理矢理仕事を押しつけます。現われた少女藤岡紫は、恵と同じく高遠教授の親戚で、恵を名前で女の子だと思っていましたが、男であることに驚きます。
恵は女の子が良いなら不採用でもかまわないと言いますが、紫は男の人でも悪い理由はないと恵を採用します。
そして仕事の当日、恵は紫の住む高級マンションに驚き、気圧されますが、紫はそんな豪華な住居に住んでいるにもかかわらず、地味で抜けていて、会話もあまり得意ではない様子です。
そんな中、かかってきた電話は紫の中学の時の友人でした。紫は今は大学生だと嘘をついてしまい、会う事になった友達に嘘を突き通すために、恵の大学生活を教えて欲しいと言います。
紫は自分の仕事であるデイトレーダーを引きこもりに毛が生えたようなものだとして、それを友達に打ち明けるのを恥ずかしく思っているのです。
紫がデイトレーダーだと初めて聞いた恵は驚き、紫は高遠教授が恵に何も教えていないことに初めて気づきます。
紫は恵に稼いだ自分の総資産は170億だと告白し、引いた?と悲しそうな顔をします。
「ビリオネアガール」1巻のネタバレ
ネタバレです。恵は紫の総資産が170億だと聞き、駄菓子屋で100億円札があったことを思い出します。予想外の返答に、緊張していた紫は大笑いし、嫌じゃなかったら自分を助けてほしいと頼みます。了承した恵に、紫は「ありがと」と笑顔をみせます。
紫と大学で待ち合わせた恵は、紫を大学の授業に連れていきます。経済学の講座を受講した紫は、酷い授業だと言い切り、大学の基金運用も期待出来ないと言います。
基金運用で有名なイェール大を例に挙げ、紫は自分の専門分野の話をペラペラ楽しそうに話しますが、我に返るとオタクな話をしてしまったことを恥じます。
しかし、恵は気にした様子もなく平凡な自分は夢中になれる何かがあって一生遊べる財産もある紫に憧れると言います。
けれども紫は自分を幸せと思っている風ではありません。紫は恵の大学のサークル活動を見学し、自分もこんな風になれたらよかったとつぶやきます。
そして紫は友達に会いに行きますが、その後音信不通になり、心配した高遠教授は恵に連絡、恵はマンションまで様子を見に行きます。
紫はマンションにいましたが、その様子はひどく落ち込んでいました。人数合せで呼ばれたのは薄々察していたのでそれほどショックは受けなかった紫でしたが、友達のライブで感動した後、ふっと紫はこれまでの人生何をしていたんだろうと思い、落ち込んでしまったのです。
パソコンの上で売り買いをして、三億近いお金を一瞬で儲ける紫。しかし、紫の表情は冴えません。倒れ込んだ紫は、受け止めた恵の手を握りしめ、一人にしないで、お金ならあると言いながら、泣き出します。
我に返った紫は恥ずかしそうに俯きます。そんな彼女を、恵は友達とのバーベキューに誘います。バーベキューの経験のない紫は、行く、と目を輝かせながら言うのでした。
「ビリオネアガール」1巻の感想
お金があっても幸せになれるとは限らない。
昔からあるこのテーマを、この「ビリオネアガール」は大金を瞬時に稼ぐ事が出来る天才トレーダーと、等身大の平凡な大学生の交流から斬新に描いています。
170億の資産を持つ紫は、その経歴ならもっと自分に自信を持っても良いような気がしますが、引っ込み思案でいつも自分に自信がなさげです。お金を稼ぐことは、紫にとって目的ではなく、好奇心の産物であり、彼女が本当に望むものは、お金で手に入るものではありません。
それを与えてくれるだろう恵は、紫にとっていまやなくてはならない人になってきているように見えます。
まだ恋愛未満の二人ですが、紫のために株を学ぼうとする恵の優しさがいつしか恋に変わることを期待しつつ、大富豪女子と平凡男子大学生のピュアな関係を見守っていきたいです。
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