結婚とは、一般的には想いあった二人が行うものでしょうが、この漫画の二人はそうではありません。
森山みくりと津崎平匡《つざきひらまさ》は、恋愛感情ではなく、利便性で契約結婚をかわします。打算と都合で始まった関係は、意外にも心地よくて――?
テレビドラマ化もした「逃げるは恥だが役に立つ」は、結婚と男女について、色々と考えさせられる作品です。
「逃げるは恥だが役に立つ」1巻のあらすじ
森山みくりは、就職活動に失敗、派遣社員になったものの、切られて現在は求職中です。そんな娘を見かねたみくりの父親は、元部下からの家事代行サービスを紹介します。
父の元部下、津崎平匡は、前に利用していた家事代行サービスがゴミ箱をあさったため、別の会社に頼もうと思っていました。気難しそうな人だと思いながら、みくりは初仕事を頑張り、家事をこなしながらふと思います。
結婚という名の永久就職したら、この職探しスパイラルから解放されるのかしら。
仕事を終え、みくりは無事家事代行サービスの仕事の継続を取り付けることが出来ました。津崎から感謝の言葉をもらい、信頼を得ていくことに喜びを感じながらも、みくりは正社員の仕事も探し続けています。
しかし、仕事はなく、五十代独身の伯母百合に愚痴をこぼします。伯母は仕事より結婚をしろと言い、二十代で出会いがなかったら三十代四十代はもっとないという実体験に基づいたシビアなアドバイスをします。
「誰からも一度も選ばれないって辛いじゃない?」百合の言葉は仕事で選ばれなかったみくりの胸に刺さります。
そんな時、みくりの両親が父の定年退職を機に、田舎に引っ越すことになりました。みくりは驚愕しますが、正社員の仕事は見つからず、いつ切られるかわからない派遣では一人暮らしの費用一式の出費はかなりの痛手です。
引っ越すまでは家事代行の仕事を続けると津崎に伝えますが、正社員の仕事はいっこうに見つかりません。
引っ越しまで一ヶ月を切った時、津崎が体調を崩してみくりが看病をすることになりました。予期せぬ出来事に、いつもより少し距離が縮まる二人。すっかり体調が治った津崎は、普段より率直に話をします。その流れで、みくりはぽろりとある提案をします。
それが、二人の関係を大きく変えることになるのですが――?
「逃げるは恥だが役に立つ」1巻のネタバレ
ネタバレです。みくりが辞めることに対して、津崎は残念だと本音を見せます。みくりは住み込みで家政婦でも良いと思いますが、結婚前の娘を住み込みという事に、津崎はためらいます。その流れで、みくりは契約結婚という提案をしてしまいます。
制度的にお得。そう言うみくりに、確かに補助や控除など、同居より得だと津崎も同意しますが、好きな人が出来た時にバツがつくことは平気なのかと津崎は問います。
みくりは発言を謝罪し、あっけらかんと、仕事が見つからないし両親と田舎暮らしだと明るく自虐しますが、内心誰からも必要とされないことに深く傷ついています。
津崎は契約結婚のメリットを具体的に考えはじめ、そこに会社の独身の先輩、沼田が通りかかります。結婚について話す二人ですが、沼田は津崎に「相手が見つからない」と言いながらおもむろにボディタッチ。体を狙われたと逃げる津崎は、契約結婚を決意し、事実婚にしようとみくりに提案します。
そうして、業務、給料、休暇を検討し、晴れて二人の契約結婚がスタートします。
相手の親とも顔合わせをし合い、初めは順調にいっていた二人でしたが、ひょんなことから津崎の会社の沼田と、後輩風見を泊めたことで、寝室がシングルベッドだとバレてしまいます。
あの二人はちゃんと夫婦なのかと疑う沼田。フォローしつつも考え込む風見。二人の秘密は守られるのでしょうか――。
「逃げるは恥だが役に立つ」1巻の感想
契約結婚というとなんらかの殺伐とした事情を考えてしまいがちですが、みくりと津崎の場合は、あっけらかんとビジネスライクに始まります。
就職難や派遣切り、高齢未婚など現代的なテーマをちりばめつつ、ただようカラッとしたゆるい空気が雰囲気を重くさせません。
就職や家事など、互いの都合をおぎなうよう始まった二人の契約結婚は、相性もあってか順調なすべり出しをみせています。
しかし、同僚の目という暗雲が立ちこめ、二人の関係は疑われ始めています。仮面夫婦という秘密は明かされるのか、うまく隠し通すことが出来るのか?
みくりと津崎の関係の変化や、みくりと親しくなり始めた津崎の後輩のイケメン風見の動きなど、これからの展開に期待が高まります。
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