現在ではネットに押されテレビやラジオといったメディアは押され気味です。情報も早くチョイスする番組(コンテンツ)は選び放題です。そんな便利なインターネットに既存メディアは衰退するのでしょうか。
そんな事はないとこの漫画が教えてくれます。沙村広明さんの「波よ聞いてくれ」はラジオ業界を題材にした漫画です。この漫画を読むとラジオを好きになるかもしれません。
「波よ聞いてくれ」のあらすじ
鼓田ミナレは札幌の有名スープカレー店で働く自称やり手の女性だ。この日彼女は大きく荒れていた。ミナレは彼氏に振られて居酒屋で失恋・恋愛トークを繰り広げていた。その話を聞いているのは怪しい雰囲気を持つ男性麻藤兼嗣。二人は仲の良い友人でもなく全くの他人でした。
そして話した後のミナレはベッドの上で意識を失くしたかのように寝ていましたが、ふと起きると純愛映画を見て泣きますが、その後はあっさりと気分転換して仕事に向かいます。
お店に着くなり変わった感じの店長の宝田に遅刻を責められ次がラストチャンスだと叱責されます。そして店員のミナレに好意を持つ純情そうな男中原は慰めてくれました。そして冷静になり飲んでいた相手の名詞を見ると、ラジオ関係の男性である事が分かりました。
そして次の瞬間店内の有線でラジオで彼女の声が流れてきます。それは先日の居酒屋での会話でした。青ざめたミナレはラジオ局に走っていきます。
いきなりの展開に戸惑う
ネタバレです。ミナレは自分が振られた男が福岡出身の男であった為に恋愛における地方論を熱く語ります。そしてその言葉がミナレが働くスープカレー店で流れます。青ざめ走りラジオ局に着くと、不敵な笑みを浮かべ麻藤が待っていました。
そして彼に抗議するミナレに麻藤はこの放送を止めるにはミナレにアドリブで話せと言います。戸惑いながらも一気にしゃべるミナレに満足そうに笑みを見せる麻藤。放送後再抗議するミナレにカレースープ屋に行くと言います。
場面変わりミナレは遅刻のペナルティーを犯し謝罪しますが、すぐに立ち直り円山の夏祭りでの出店の件を相談します。しかし彼女の不幸は続き客にラジオ出演の問い合わせが来ます。更に店を血相変えて出ていく動画も出回ります。
更に麻藤に抗議をするのですが、その声も聞き流されます。そして店に現れた麻藤達はラジオの仕事を一緒にするように言います。
感想
昔映画で「Talk Redio」という映画がありました。結構過激な言動を話すDJが主人公でしたが、その言動によって彼は不幸な結末を迎えます。しかしこの漫画はそのような過激な漫画ではありません。
ミナレのキャラは強烈で身近にいたら迷惑でもキャラとしては最高です。自分勝手ではありますが、人を引っ張るほどの魅力を感じます。麻藤はそんな彼女の実力に気付きラジオの世界に引っ張り込みます。
物語もテンポ良く展開の速い漫画です。ミナレの不幸な展開からいきなりポジティブ展開になり、いきなりラジオの世界へと飛び込んだかと思うと同僚の中原とのコメディータッチのラブロマンス(?)が展開されたりと一見逆方向に見えてもどこかで繋がっていきます。一話一話が独立しているような感覚もありますが、話は途切れる事はないので読んでみると繋がりが見えてきます。
もちろんミナレ以外のキャラも強烈で麻藤はかなり怪しく自分勝手な男ですが、人の才能を見るのは確かそうです。そして店長の宝田は独特の髪形を持つゲイという異色のキャラ設定です。
そしてミナレに好意を寄せる中原は妄想好きの純情キャラですが、最後の方で城華という女性(店長の宝田が事故をした原因となったドライバーの妹)といい感じになっていきます。ここで焼きもちを焼くミナレは女らしいです。
漫画の最後に作者の後書きにて次回の構想が書かれています。漫画だけでなくこちらも読んでください。漫画以上に面白いかもしれません。
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