一目で罪人とわかる、顔に入れられた入れ墨「臏刑」。歩くことができないよう膝の骨を抜かれる「黥刑」。
そんな刑を受けながら、知力を生かし、将軍や国王に一目置かれ、軍師として才を振るう孫臏。
人当たりは良く、一見するとただのお人好しにしか見えない孫臏に、またひとりの人物が近付いてくるのでした。
「ビン~孫子異伝~」2巻のあらすじ
一目見ただけで重罪人とわかる孫臏。その孫臏を見かけ、ひとりの男が近付きひれ伏します。
自分を買って欲しいと言うこの男は、手の甲に「奴」という印を押されている奴隷でした。幼いころから奴隷としてしか生きる道が無かったという、この男の名は淳于髠。
持っていた金を差し出し、死んだ妹に似た娘を救うため、孫臏に力を貸してほしいと頼むのでした。奴隷として生きてきた人間が持っているような金額ではないことに驚く孫臏。
長い長い時間をかけ、命を削って貯めた金を、ひとりの娘のために託そうとしているのです。
その思いを受け、孫臏はどうするのでしょう。
「ビン~孫子異伝~」2巻のネタバレ
淳于髠は主人に捕らえられ、そしてその主人の元を訪れた孫臏。幼いころから共に奴隷として酷い扱いを受けてきた淳于髠と慍。淳于髠は、幼い時分から「孤鳳卒」という集団に憧れ続けていました。
ある兵法家が身寄りのない子供を集めて作った盗賊団。貧しい子供らは、その一員となることを夢に見て過ごしていたのです。
間もなく10歳になろうとしている慍。主人は、慍が10歳になったその夜に、慍の身体を奪うつもりなのです。何とかして、その前に救い出したい思いで、淳于髠は孫臏に助けを求めたのです。
淳于髠の主人に、持参した将軍の割符を見せた孫臏。そして将軍から賜った宝刀をちらつかせ、威嚇します。
孫臏は、たった10人で150人に立ち向かいます。10人と思われた孫臏の仲間は、実は間者もいて、総勢30人。孫臏の策により、人数で圧倒的不利だったものの、見事打ち勝つのでした。
勝利に掲げた旗は、淳于髠にとって見覚えのある、憧れ続けた旗です。目の前で自分と慍を助けてくれた勇士たちは、孤鳳卒のメンバーだったのです。そして孫臏こそが、首領だったのでした。
孤鳳卒は、ただの盗賊集団ではなく、戦が生んだ孤児により戦を終わらせることを目的とした集団でした。
感想
孫臏の知力、軍策は、困った人、とりわけ戦で孤児となり不幸な道を歩むしか方法がない人間に対して、惜しみなく発揮されているようですね。孫臏の兵法により、少ない兵士でも勝利を手にしているのを見ることは気持ちがいいものです。
ただの盗賊団ではなく、戦が生んだ孤児だけで戦を終わらせるために戦う集団、かっこいいです。しかし孫臏は、いつから臏と黥の刑を背負っているのでしょう。
これだけの兵法を持っているのですから、多方面から重宝されていたのではないかと思わせますが、その中でいったいどんな思いをし、なぜ今も笑顔でいられるのでしょう。
孫臏の目指す先には何があるのか、なにを見ているのか、今後がとても気になります。
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