多くの名将が影響を受け、世界最高にして最古の兵法書「孫子」。中国の歴史上、孫子は二人存在する・・・。
紀元前360年頃、中国戦国時代、斉の首都の東北、流れ着いたひとりの罪人。顔に入れ墨である「黥」、膝頭の骨を抜かれる「臏」と呼ばれる刑罰を受けていました。
いったいなぜ流れ着いたのでしょう。
「ビン~孫子異伝~」1巻のあらすじ
顔に入れ墨、膝に傷という、罪人の証を携えた男が流れ着いた海岸。村の女性たちはその男を囲み、水賊がいつ来るかと尋ねてきます。水賊と間違われたこの罪人は、斉国の将軍である田忌から与えられた割符を持っていました。
見るからに重罪人と思われる男が割符を持っていることに驚いた村人でしたが、今は水賊対策のほうが差し迫っています。
そんな村の女性たちを見たこの罪人は「臏」と名乗り、村人たちに策を与えるのでした。
膝の骨が抜かれ、立つことすらできない臏は、船上から次々と指示を出し、その卓越した才気によって、水賊を蹴散らしたのでした。臏の戦いは、力ではなく、頭脳がものをいうのでした。
孫臏の頭脳は、有力者が欲しがるところとなるまで、時間はかかりませんでした。
「ビン~孫子異伝~」1巻のネタバレ
孫武の血筋である孫臏は、誰しもが認める戦と政に長けていました。兵法の「孫子」とはすなわち「時を超ゆる書」と堂々と言い放つ孫臏。
田忌の元、言葉で兵を動かし納得させる力を持つ孫臏、孫子兵法を目の当たりにした田忌は目を見張ります。
無用に兵を死なすことを最も忌み嫌う孫臏は、勇・智・仁を備えていることにより、兵士の統一に成功し、軍師・孫臏と将軍・田忌という名コンビが誕生したのでした。
田忌と共に斉国王・威王の元を訪れた孫臏は、その才能を見込まれ、重罪人でありながらも「尚書令左僕射」の官位を授けられます。
しかし、あっさりとそれを孫臏は辞退するのでした。孫臏にとって、官位などというものは何の意味もなかったのです。
貧しい村を守るために男たちは死に、残された女子供は敵に捕らわれていくこの世の中と戦うことこそ、孫臏の目指すところだったのです。
守るための戦いを知力で勝利していく孫臏。
兵法書「孫子」著書の孫武の末裔、斉国将軍・田忌の軍師である孫臏の戦いは、まだ始まったばかりです。
感想
戦い方というのは様々あるもので、武力にものを言わせる武将もいれば、知力で戦う軍師もいる、そういう面白さがこの物語にはありますね。
自分が持たないものに憧れるのは人の性で、孫臏の軍策には将軍も国王も認めるところのようです。
兵法書「孫子」は、日本の戦国時代にも活躍した書ですよね。知力というものは、人を動かし、腕力に勝るものだということが伝わってきます。
孫臏が、なぜ重罪を受けたのか、なぜ流され生き延びたのか、そこのところはまだ伝わってきませんが、孫武の末裔ということが関連しているのでしょうか。
力がものをいう時代、知力はどこまで通用するのか、通用させるのか、打ち勝つのか。この先の戦いに挑む孫臏がとても楽しみです。
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