ヒロインというと、どのような子が思い浮かびますか?
優しくて、可愛くて、一生懸命で……大抵は、そんなプラスのイメージにあふれた魅力的な少女を想像すると思います。
しかし、この漫画のヒロインはとりは、ひと味違います。計算高く、強かで、自意識過剰。おまけに自分を好きな男の子の本命だと思い込んでいますが、正統派ヒロインな女子に完敗してしまいます。
それでも好きな男をあきらめきれない邪道ヒロインはとりの斜め上な恋愛は、読めば不思議と応援したくなってしまいます。
漫画「ヒロイン失格」1巻のあらすじ
松崎はとりは、幼なじみの寺坂利太が大好き。モテる利太は、すぐ彼女がころころ変わるタイプですが、はとりは利太と幼なじみでずっと側で見守ってきた自分こそが利太のヒロインだと思いこんでいます。
はとりと利太の出会いは小学三年生。小五の時、利太の母は、若い男と失踪し、それをクラスメイトに揶揄された利太はキレて教室で暴れます。その時、はとりは利太にあたしはあんたの味方だと言います。泣き出す利太と、それを見て守ってあげたいと思うはとり。成長して、はとりはそれを愛しさだと気づいたのです。
友達に告れと言われても、今付き合ってもすぐ別れるだけだと言い、はとりは利太はコロコロ女を変えているけれど、最後には真実の愛に気づくと語ります。
その時、同じクラスの少女安達が、ガラの悪い輩に絡まれているのをはとりは目撃します。それを止めたのは利太でした。
安達が利太に惚れたなと、はとりとはとりの友人はネタにして笑い合い、はとりは誰が利太に恋してもヒロインには絶対なれやしないとたかをくくっています。
しかし安達は意外にも積極的で、利太をおいかけて陸上部に入ります。はとりはそれを感心しながら、むくわれない恋だと地味な安達を下に見ています。
はとりは一番利太に近くて利太を理解しているだろう自分に安心し、いつか自分に気づいてくれることを願っているのです。
けれども、利太は安達に告白されて、つきあうことになります。はとりはそれを意外に思いつつ、新しい脇役が増えたと上から目線でいます。
安達に話しかけるも、誰に対しても一線を置く利太の事をわかっている安達に感心し、長い目で見て最後に自分を選んでくれたら良いという安達に、自分のポジションを奪われそうで動揺します。
それでもまだ自分が利太のヒロインだと思いこむはとりでしたが、安達といる利太が、いつもの彼と少し違うようで――?
漫画「ヒロイン失格」1巻のネタバレ
ネタバレです。利太の下駄箱が汚され、犯人は以前安達に絡んでいた男達でした。相手にしない利太でしたが、はとりはぶん殴ってやりたいけれど、男達が怖くて涙ぐむことしかできません。自分を誰よりも利太の味方だと思うはとりに、利太は笑顔を向け、はとりは安達よりも誰よりも利太が愛しいと思います。
しかし、利太の惨状を見た安達は、男達に蹴りかかり、万引きをしていた事を大声でバラすと脅します。
「寺坂くんに手を出したら絶対に許さない」
そう啖呵をきる安達に、利太は迷惑だと言いますが、はとりと帰るはずだった予定を変えて、安達と帰ると言います。
はとりはその様子に、ふと思います。
――今の安達さんの方が、よっぽどヒロインっぽくなかった?
真実に気づき始めたはとりは巻き返しを図ろうとしますが、素直で純粋な安達の前では、ただの意地悪な当て馬女子のような行動しかとれません。
自分の行動をかえりみたはとりは気づきます。
「…え、あたしヒロイン失格じゃん」
迷走したあげく利太に告白したはとりですが、つきあえないときっぱり振られてしまいます。それでもあきらめきれないはとりと、利太の関係はこれからどうなってしまうのでしょうか?
漫画「ヒロイン失格」1巻の感想
映画化もしたこの「ヒロイン失格」は、普通の漫画ではヒロインのライバル役がはまりそうな邪道ヒロインはとりが主人公です。
しかしヒロインとしては邪道でも、自意識過剰で自分を好きな男の子の本命だと思いこんで空回りするはとりは、不思議と共感出来るキャラクターです。
対して純粋で鈍感で、磨けば光る地味女子の安達は、正統派ヒロイン的ですが、読者から見れば良い子すぎる面もあるかもしれません。
自分をヒロインだと思いこんでいたはとりは、ようやく自分の間違いに気づきつつありますが、現在の状況はかなり不利です。
次巻以降ではとりの巻き返しがあるのか、それとも新しい出会いが見つかるのか? ヒロイン失格なはとりは、本当のヒロインになることができるのでしょうか?
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