マンガトレジャー

平等なんてこの世には存在しない。たくさんの不平等の中、最もわかりやすいのが「男と女」。生きるもの全てが「取り分」の多いほうか少ないほうかに分けられている。

自分は「取り分の少ないほう」に属するとわかっている美鈴。

美鈴の少ない「取り分」のなかで、「取る」ものとはいったいなんなのか。危うい綱渡りのような生き方の中、それでも美鈴は日々を送っていくのです。

「先生の白い嘘」１巻のあらすじ

高校教師の美鈴。地味で目立たない美鈴の数少ない友人との待ち合わせです。時間にルーズな美奈子は、いつものように待ち合わせに遅れ、しかも突然早藤を伴ってやってきます。

地味な美鈴を励ますような話しぶりの中にも、自分自身の自慢をちらつかせる美奈子は、早藤との結婚を美鈴に報告するのです。男性の影を背負ったことのない美鈴に、美奈子は最後まで優越感に浸っているのを、美鈴はかんじるのでした。

そんな日曜が過ぎ、月曜にはいつも通り「先生」の顔になる美鈴。廊下にたむろし、つまらない会話ばかりの高校生たちのにウンザリし、ただ仕事として割り切って教壇に立つのでした。

自分にとって、目の前にいる高校生たち自身が比較し合い優劣をつけ合い、一喜一憂している姿を眺めるだけの仕事でしかないのです。

「先生の白い嘘」１巻のネタバレ

職員室でも、美鈴のように地味な女は興味対象から外れ、生徒に対しても可愛い女子は教師からちやほやされる。そんな有様を毎日見ている美鈴。

教師からちやほやされる女子、三郷は校舎裏で男子生徒に体を弄ばれているのが現実。その現実を感じるのは、職員室では美鈴くらいのものなのでした。

昼休み、美鈴の元へ業者から電話が入ります。しかしそれは、偽名を使った早藤でした。昼休みに学校を抜け、早藤と車の中で過ごす官能の時間。親友である美奈子の婚約者を相手に、美鈴は自分を失いながらも身を委ねるのでした。

授業が始まり、目ざとく美鈴のボタンが掛け違えているのを見た三郷。美鈴のことを、地味で処女だと思っていた三郷は、それを見て全てを察するのです。

早藤との始まりは、大学生の時、美奈子の引っ越しの手伝いの日でした。一緒に引っ越しの手伝いをしているとき、ちょっと買い物に出た美奈子の居ぬ間に、早藤は暴力で美鈴を犯したのです。暴力で処女を失った美鈴は、人生そのものをその時に諦めてしまったのでした。

感想

地味で誰からも興味を持たれない美鈴は、自分を犯した親友の婚約者だけが自分に興味を持つ人間だと思っているのかもしれないですね。

とても悲しく浅はかな考えではあるにせよ、人はどこか拠り所なくしては生きられないのかもしれません。たとえそれがタブーであっても、美鈴は理性を抑えられなかったのでしょう。

頭で思うことと、体が欲するものとの差に苦しむ美鈴。そんな美鈴を、勘のいい三郷は見抜いてしまったようです。

性に対していちばん興味を持つ年頃の高校生たち、そのなかの男子生徒・新妻から性に対する悩みを打ち明けられても、男と女の不平等を感じずにはいられない美鈴。

美鈴は、自分の心に正直に生きられる日がやってくるのでしょうか。真の幸せは、いつになったら美鈴の元に訪れるのでしょう。