ギャンブルで身を亡ぼす人間もいれば、その逆も然り。斑目貘のギャンブルは、勝敗ではないのです。
「負け」は無い。ただ勝つためだけのギャンブル。違法のギャンブルは、違法の目でかいくぐり、闇の世界を生きていくのです。
「嘘喰い」1巻のあらすじ
スロットを打つ梶の横に座っている一人の男。騒ぎながら打っているものの、あまり慣れていない様子なのが梶には見て取れました。席を立とうとする男の台を見ると、どうやらBIGボーナス突入も見て取れていないようです。
居なくなってからその台に移ることもできたのに、親切に大当たりを教える梶。
帰り道、借金の取り立て屋に見つかった梶は、執拗に迫られます。しかし、一緒にいたさっきの男は、闇金融に詳しく、言葉巧みにその場をやりすごしてくれるのでした。
その男の名は斑目貘。ギャンブラーでした。しかも、パチンコや競馬といったものではなく、闇カジノ。日本では違法の賭博なのでした。
「嘘喰い」1巻のネタバレ
梶の借金返済を手伝うと言い出した貘。借金するだけして、借金のシステムをまるで知らない、危なっかしい梶を、闇カジノへ連れていきます。
ルーレットを始める貘。
その戦い方は独特で、まずはディーラー本人を読むこと。ディーラーを自分に引き付け、「賭ける場所」に落とすよう操る貘の手法は、その場にいた全員の度肝を抜くのです。
そして、ディーラーは思い出します。伝説のクラブで行われていた、いかれた闇ギャンブル。負ければ死という場所で、生き抜いた男がいたことを・・・。
「斑目貘」その男はギャンブルという「嘘」と戦う「嘘喰い」なのです。
貘の行動を目の当たりにした梶は、自分は持っていないものを持つ貘に憧れを抱きます。そして気が大きくなった梶は、ひとりで借金した事務所に乗り込み、覚えたての言葉を並べるものの、あっという間に囲まれる梶。
そんな梶を心配し助けに来た貘。
貘は、事務所を見ただけで、バックになにも付いていないこと、やり口などを判断します。そして、梶を助けながらも、その違法な金貸しを叩き潰すのでした。梶は、自分の甘さをしみじみ感じるのです。
感想
闇カジノという舞台に生きるひとりのヒーローなのかもしれませんね。ヒーローが善人とは限らず、裏の世界を知りえたヒーローといったところでしょうか。
違法行為には違いないですが、梶というひとりの男と知り合い、ギャンブルを通して借金を完済させようとする貘は、善人ではないにしても、悪人でもないですよね。
ギャンブルというものは、人間の本能の部分が出てくるものだと思います。どれだけ騙せるか、どれだけ騙されないか、本気の人間観察の先を見る貘は、勝つためのギャンブルの方法を見出しているのでしょうね。
目の奥の異様なまでの光に、梶は惹かれていったのかもしれませんね。自分にないものを求めるのは、人間の本能。いろいろなことを本能で見極めるこのストーリーは、手に汗握りながらも、とても爽快な展開になっていると思います。
梶は頼りないですが、貘を見ていれば、きっと一人前の男になっていくのではないでしょうか。
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