ダーツと聞けば、おしゃれに手軽に楽しめるというイメージがありますよね。
しかし、この「エンバンメイズ」では、ダーツを使った非合法の賭けが行われ、地下で大金がやりとりされています。
天才ダーツプレイヤー烏丸徨は、ダーツの代打ちを頼まれるほどのその世界では有名人。迷路の悪魔とも呼ばれる彼は、訳ありの依頼を受けながら、今日も冴え渡るダーツの腕を披露します。
「エンバンメイズ」1巻のあらすじ
天才ダーツプレイヤー烏丸徨は、女子高生、美作真琴の依頼を受けて、賭けダーツの代打ちをします。
一勝負数千万の掛け金がはいるその場所は、非合法で法律も通用しないアンダーグラウンド。しかし、真琴の父は、事業の失敗のため、代打ちを頼んで賭けダーツに手を出してしまいます。
しかし、代打ちを頼んだ相手は極悪非道で名高い金融会社の社長、神谷でした。神谷は一千万円の代打ち料を要求し、払う当てのない両親は自殺。真琴は神谷に風俗で働かせると言われ、進退窮まって烏丸に依頼をすることにしたのです。
烏丸は依頼料を支払う覚悟はあるかと真琴に聞き、真琴は体で支払う道を選んで服を脱ぎますが、泣き出す真琴を、烏丸は笑います。勝てば胴元から賞金が支払われるため、烏丸はただ働きをするわけではありません。彼は真琴の覚悟を見たのです。
そして、二人は賭けダーツに挑みます。迷路の悪魔の二つ名を持つ烏丸の注目度は高く、会場は盛り上がります。烏丸と神谷の勝負が始まり、二人はひたすら高得点を目指して争います。
引き分けが続く中、神谷は、烏丸の手をダーツで突き刺します。ルールで禁止されていなかったとうそぶく神谷ですが、烏丸は何事もなかったように反対の手でダーツ勝負を続けます。
半日以上続いた試合は、まだ終わりが見えません。烏丸は、神谷が五時間おきに一回、アラームが鳴るごとにトイレに行くことに気がつきます。
神谷は、病気のため薬を投与していたのです。手持ちの薬が尽きた神谷は、部下に薬を取りに行かせようとします。そこで烏丸は部下にささやきます。「アンタがこのまま戻らなければ、もう神谷さんに会わなくて済むぜ」
そして、部下は四時間半がたっても、戻ってきませんでした。部下の生命保険で賭けの負け分を支払おうという神谷は、わざと勝負に負け、試合をおりようとします。
しかし、烏丸は神谷が外したところにわざとダーツを当て引き分けにもちこんで、神谷を試合から下ろそうとはしません。
初めて動揺を見せる神谷。余裕の表情を見せる烏丸。二人の勝負の行方は――?
「エンバンメイズ」1巻のネタバレ
ネタバレです。投薬の時間が迫った神谷は、いくらでも金を払うから負ける権利を買うと烏丸にすがります。クズが死ぬのはいい、だが俺が死ぬのはダメだ。
そう言いきった神谷を、真琴は殺して、生きている資格なんかないと怒鳴ります。烏丸は真琴をたしなめ、投了の権利を一億で売ると宣言、勝負の決着は烏丸の勝利に終わりました。
地下の会場から走り出た神谷は、ようやく地上に出ることが出来ました。その瞬間、神谷は車にひかれます。今まで非道に使ってきた部下達が、神谷をひき殺したのです。
そんな烏丸の過去は、謎に満ちています。十四歳の烏丸は、山奥の施設でひたすらダーツの腕だけを磨いていました。
そこは、スコアによって待遇の変わる場所。Aランクの烏丸は個室が与えられ、食事も不自由しないでいられましたが、Bランクは最低限、Cランクに至っては家畜のような生活を強いられていました。
卒業試験で合格した者は、今後の人生に援助が受けられる。そう始まった試験は、いきなり大半の人間が顔から血を流しながら倒れていきました。試験対象は参加可能な生徒、そうアナウンスが続く中、烏丸の友人も、顔から鼻血が流れ出始めていたのです。
「エンバンメイズ」1巻の感想
オシャレな大人のゲーム的イメージもあるダーツですが、この作品では、賭けダーツというアンダーグラウンドな素材として使われています。主人公の烏丸は、天才的なダーツプレイヤー。命すら賭けるような非合法な賭場で「迷路の悪魔」として名を馳せる男です。
今までは結果的には依頼人を助ける形になっていますが、ときおり見せる冷酷非道な表情はただの良い人でないことを物語っています。
彼が、人格の破綻したようなくせ者揃いのダーツプレイヤー達とわたりあう様子は、賭けダーツ場がどれだけ常識を逸した場所であるかを感じさせてくれます。
烏丸や賭けダーツにまつわる謎は解き明かされている最中ですが、これから予想しうる緊迫の展開は見逃せません。
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