魔法とは人知を超えた力です。だから昔よりこの魔法を使ったメディア媒体はたくさんありました。それほどまでに魅力的です。当然色々な漫画でこの魔法を扱った物も多く一つのジャンルとして確立しています。
そして佐藤健太郎さんの新作「魔法少女サイト」は他の魔法漫画とは少し違います。読んでみるとその怖さや深さが分かります。
魔法少女サイトのあらすじ
朝霧綾は中学2年の大人しい少女です。4人家族の中で平和そうですが実はかなりの不幸を背負っています。家では秀才の兄要にはいつものように虐待を受け、学校に行くと不良グループのリーダー貝島えりか達からいじめを受けています。
そんな状況に彼女は死のうといつも考えています。死だけが自分を救うと考えている彼女の心の拠り所は捨て猫でした。いつも自分の境遇を重ねこの猫を可愛がっていました。
夜、兄に殴られいじめられた後いつも以上の絶望に浸っていると彼女のパソコンが起動して気味悪い少女が話しはじめます。不幸なあなたに魔法のステッキを贈るといいます。更に使う、使わないは自分次第とも。
次の日綾は学校に行く途中に自分の可愛がっていた猫が電車にはねられた事を知ります。悲しみの中、学校へ行くと彼女の靴箱にピストルのような物が入っていました。これは昨晩勝手についたパソコンの画面の少女から贈られたものでした。引き金を引くだけと書かれ、最後に魔法少女サイトと書いてありました。そっとそのピストルを隠す綾。
そしていつものようにいじめられる綾にえりかから衝撃の内容が語られます。あの猫を殺したのはえりか達だったという事でした。その悲しみにくれる暇もなく続けて翔太先輩という、いかれた男に襲われそうになります。その時綾は例のピストルを放ちます。
淡々とストーリー
ネタバレです。この話の主人公綾は不幸の中で育っています。家では兄のストレスのはけ口にされ、学校では不良グループに日常的にいじめられます。そんな綾の考える事は「死ぬこと」だけです。
そんな彼女の前に突然現れた「魔法少女サイト」。「不幸だねー。不幸だねー。」「そんなキミに魔法の力を与えよー。」そんな言葉と共に現れた不気味な謎のサイト。そして次の日に綾の元には魔法のピストル(ステッキ)が届けられます。これを使いえりかと翔太を違う場所に飛ばし死に至らしめます。
その事で重荷に思う綾でしたが、彼女の体には異変が起きていました。髪や目から血が流れてきていました。そして兄からの暴力は治まる事もなく不良グループのさりなからは目の仇にされカッターナイフで切られそうになります。
しかしそこで奴村というクールな女の子に会います。彼女は綾を助け、不良グループのさりなの首をナイフで切ります。続けて奴村は自分も魔法使いであり自分は時を止める能力を、綾は対象を瞬間移動させる能力をもっていると告げます。
奴村は魔法少女サイトの謎と彼女達魔法少女を狙う「魔法少女狩り」という者達と「テンペスト」と呼ばれる危機的状況が迫っている事を立て続けに説明します。全てを把握できない綾はなぜ自分がこのステッキを持たされたのか? 魔法少女サイトとは何か? テンペストとはと整理出来ないまま時は進んでいきます。
感想
独特なタッチで描かれるこの漫画は童話のような雰囲気を持ちます。その事が余計残虐性を湧き立たせます。綾の日常が虐待といじめによって成り立っているという現実が淡々と描かれ続けます。テンペストという謎のカウントダウンと魔法少女サイトと少女狩りなど一巻の中に問題を多く提起しています。
しかし魔法少女狩りは後半での情報屋の潮井莉ナという少女の出現で少し分かります。彼女は他の魔法少女のステッキを奪い自分の勢力を伸ばしていたのですがそれを奴村に見破られ倒され、自分の体の変調によって意識不明となります。
ここで得られた情報は奴村の不幸な過去(両親が殺されその男への復讐の為にいたぶっている)、潮井は意識不明になる前にテンペストについて語ろうとして二人が良く知るある人物が答えを持っている事。その人物のヒントが最後に出ています。
まだまだ序章です。今後どのような展開が待っているのでしょう。淡々としたストーリーと独特なタッチで描かれ続けます。抑揚がない訳ではないですが独特のテンポがこの漫画の特徴でしょう。
残虐な場面もなぜかさらっと入っていきます。今後どのような展開になるのでしょう。最後の番外編も読み直してみるとじわっと恐怖がきます。いわゆる日本的なホラー漫画でしょう。
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