「歴史は約束」そう言われた寛文の時代。改暦の儀が執り行われていました。人と人とが暗黙のうちに交わす無言の誓い。天を読み地に挑む。
日本の至宝といわれる渋川春海の暦。暦もまた「約束」なのです。動乱の世、渋川春海というひとりの人間が織りなす、ひとつの信念の物語です。
「天地明察」1巻のあらすじ
碁打ち衆として勤める安井算哲。しかし算術に没頭する算哲は、詰所でも目を盗んでは算術書に没頭します。そんな姿に耐えられない道策。
道策は、碁打ち衆の因坊家の人間です。因坊家、林家、井上家と並ぶ算哲の安井家。算哲はその安井家の二代目。父から譲られた名を安井算哲、本当の名は渋川春海。
算術のこととなると、時間も場所も忘れてしまう算哲に、周囲は呆れます。特に道策は、碁打ち衆の次の世代を担う仲間として心配するのです。
ある日、算額奉納の話を聞いた算哲。算額絵馬というものを知り、どうしても見たくなります。朝早く、登城前に帰ってこられるよう籠を走らせます。そこで目にした算術の絵馬に目を奪われる算哲。
絵馬には問題が書かれており、見た者が解くというこの絵馬。喜々として難しい問題を書き写す算哲でした。
「天地明察」1巻のネタバレ
算額絵馬の難問を、一目見て解いたという関に興味を持った算哲。その出来事は、算哲の心を震わせるものでした。急いで登城したものの、頭の中は算術でいっぱいです。
自分では解けなかった算術を、一瞬で解いた関という人間。算術の魅力に憑りつかれている算哲は、そばで悔しがる道策の視線に気づきません。算哲の中に宿る碁打ち衆の才能を無駄にしているとしか、道策には思えないのです。
老中酒井忠清の元で勤めの碁をうつ算哲に、酒井は算術についていろいろ問いかけてきます。
その問いのすべてに、何かしらの思いがあると感じる算哲。いまの勤めを好みかと聞かれ、「退屈だ」と答えるのでした。
どうしても関に会ってみたくなった算哲は、方々を探しますがなかなか探し当てることができません。磯村塾で関の手掛かりを掴んだ算哲。磯村の弟子である村瀬は、関を頭脳明晰の化け物というのでした。
道策の天に通ずる碁の才を目の当たりにし、今また関という高い壁を目の当たりにした算哲。まだ会ったことのない関との真剣勝負を自ら誓うのでした。
「天地明察」1巻の感想
生まれ育った環境が碁打ち衆ということだったようですが、どうしても算術の魅力から逃れられない算哲。周囲からは、ただの変わり者にしか見えないようですが、本人は至って正気で算術に取り組んでいますね。
老中酒井も、算哲に興味があるようで、この先何らかの役職につけようとしているようです。なかなか周囲から理解を得られなくても没頭できるものがあるというのは、誇らしいことですね。
算哲の目の前に広がった、関という存在。関の才能に憧れ、少しでも関に近付こうとする算哲の熱意は素晴らしいですよね。算術の世界から、暦の世界までの道のりには、いったい何が待ち受けているのでしょう。
これからの出会いを思うとワクワクしますね。
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