手話サークルから出てきた石田将也、サークルの会員たちからは、同じサークルの西宮硝子の彼氏ではないのかとからかわれます。
石田は昔の同級生だと説明しますが、西宮は戸惑った表情で逃げ出すのでした。6年前に起こった、障害者に対するいじめが根底にあったのでした。きれいごとだけでは片付けられない、陰と陽を兼ね備えたストーリーです。
「聲の形」1巻のあらすじ
退屈が大嫌い。先生の教えてくれることには全く興味が無い。知りたいことは「どうすれば退屈でなくなるか」。毎日そのことだけを考える石田。度胸試しと称しては、橋から川に飛び込んだり、トラブルから喧嘩に巻き込まれたり。
しかし、泥だらけになろうが、怪我をしようが、石田には「退屈に勝った」証拠でしかないのでした。そんな毎日を続けていましたが、仲間の島田は中学進学を控え塾に通い始め、広瀬も度胸試しには興味を失っていました。
それぞれが少しずつ大人になりかけていた時期、石田だけは退屈から逃れることだけを考えていたのです。
ある日、西宮硝子が石田のクラスに転校生として現れます。耳に障害があり、ほとんど耳が聞こえない硝子。しかし、石田には、障害者を気遣うという心は微塵も持ち合わせていなかったのです。
「聲の形」1巻のネタバレ
筆談でしか対話ができない硝子。最初はそれを受け入れようとしていたクラスメイトたちも、次第に面倒になり、硝子はどんどんクラスから浮いていきます。
石田は、硝子の障害をからかい、クラスメイトも硝子ひとりのために数々の手間がかかることに閉口していたのです。「仕方のないこと」と先生に言われた石田。
硝子が来てからというもの、耳の聞こえない硝子の参加した合唱コンクールは散々な結果で終わり、当たり前だった日常は破壊され、唯一硝子の世話を焼いていた佐原はクラスのいじめにあい不登校になってしまいました。
石田の硝子に対するいじめはひどくなる一方で、クラス全体が硝子をいじめていたのですが、硝子は笑顔を絶やしません。
そして、事件が起こります。硝子の母、学校側に、硝子がいじめられていると言ってきたのです。やり玉に挙げられる石田。石田一人に罪を着せ、クラスメイトは標的を石田に変えたのでした。
硝子が現れたことで何もかもが変わってしまったと思った石田。ついに石田は硝子に手を上げ、取っ組み合いのけんかになり、そして硝子は転校していってしまうのです。
石田は中学へ行っても孤立し、高校でも周囲を拒絶し続けます。人間不信になった石田は、意を決し、硝子を探し、手話サークルで6年ぶりに再会するのでした。
感想
とても、奥の深いストーリーだと思います。健常者と障害者が、同じ空間で生活するということの難しさが浮き彫りになっていますね。
大人ならば、モラルというものがありますからここまで酷いことにはならないでしょうが、子供というのは、時に残酷です。面白いと思えば、とことんやってしまう。それがいじめに繋がろうと、大人が思うほど、罪悪感を感じていないものなのかもしれないですね。
石田もまた、自分の退屈しのぎの材料として、硝子をからかい始めてしまいますが、それが自分の首を絞めることになろうとは、その時は考えてもいなかったのですね。
全てを誰かのせいにし、自分を正当化し、相手より自分は優位なのだと思い込もうとする、そんな健常者の子供たちの中、硝子はどんな思いで毎日を送っていたのでしょう。
この記事へのコメントはありません。