東京、池袋。夜もネオンで輝く大都会は、よどんだ裏の顔を隠し持っています。
この「ヤミホタル」はそんな池袋の夜の店で働く男と女達の、愛と金のからまりあった人間ドラマです。
「ヤミホタル」1巻のあらすじ
新米ホストの王史は、酒の飲めないダメホスト。王史を店に誘ったNo2の誠二に気にかけられながら、何とか仕事をしています。王史は、売り掛けの回収ができず悩みますが、一番の指名客の風俗嬢エミリと付き合ってしまい、185万の売掛金回収の目処はたっていません。
店のオーナー沢田には売掛金の回収が出来ないなら闇金融で借金をしてでも店におさめろと言われ、店をやめることも考えています。そして王史はエミリに風俗をあがってほしいと頼みますが、エミリはお金のためだと割り切っていると、あっけらかんとしています。
仕事にでかけたエミリは、ホテルで男二人に麻薬を使われ、暴行されそうになります。しかし、間一髪エミリの店の用心棒に助けられますが、痛めつけられ生死不明の男二人は廃棄処分という言葉にエミリはおびえます。
王史はホストのヘルプで盛り上げ役に徹しようとしますが、誠二にホストに向いていないと言われ、逃げることをすすめられます。しかし、住所がばれており保険証のコピーもあるため、失敗した時のことを考えて王史はふみきれません。
そんな王史に誠二は200万渡し、店の借金を清算させようとしますが、王史は18歳の時施設を追い出され、路頭に迷っていた自分に声をかけてくれた誠二に感謝しているから、自力でなんとかすると受け取ろうとしません。
そんな二人の様子をこっそり見ている者がいました。エミリです。彼女は王史のために闇金融で借金をしてホスト店のオーナーにかけあい、王史の借金を清算します。
「王ちゃんは私にとっては大切な王子様だもん」
というエミリに、闇金融の魔の手が忍び寄ります――。
「ヤミホタル」1巻のネタバレ
ネタバレです。王史の勤めるホスト店マミルダの実質オーナーは、栄后商会という闇金融業者でした。売り掛けの膨らんだホストに闇金融栄后ローンから借金させ、多額の借金を抱え込んだホストに客の女を風俗に沈めて金を回収させるというシステムができあがっていたのです。
それを知る誠二には、何か目的があるようで女の早希に沢田を調べさせ、何かをしようとしています。
そして、借金を抱えるエミリは、風俗の仕事で借金を返そうと前にもまして仕事の数をこなしています。この事は王史には秘密でしたが、エミリの変化を案じていた王史は、闇金融からの借用書を見つけてしまい、誠二に相談します。
そんな中、エミリが仕事に行った相手は、闇金融の男でした。法外な利息を払うように言う男に、エミリは立ちすくみます――。
「ヤミホタル」1巻の感想
池袋の、愛憎と欲望の渦巻く夜の世界を描いた「ヤミホタル」は、アダルトな雰囲気に満ちていて、アンダーグラウンドな世界が好きな方にオススメです。
そんなドロドロとした世界の中、主人公の王史とエミリの、ホストと風俗嬢という立場でありながら、真っ直ぐお互いを大切に思っている様子が一服の清涼剤として読者の心をうちます。
不器用な彼らは、夜の世界に向いていないタイプですが、その中であがくふたりには、幸せになってほしいと感じます。
そして、何かを調査し、行動を起こそうとしている謎多き男誠二の、これからの動きが大変気になります。非道な闇金融業者の魔の手に落ちそうなエミリですが、どうか助かってほしいと願いつつ、次回の展開に期待したいです。
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