ゲームという世界は現実と空想の狭間の中に存在します。現実では考えられない事がゲームの世界では簡単に出来てしまう事があります。しかしゲームでは体験できない事もあります。現実とゲームの境目とはどこなのか分からないのがヴァーチャルの怖さです。
岡部閏さんの話題作グッド・ナイト・ワールドの現実と空想の境目はどこにあるのでしょうか。
グッド・ナイト・ワールドのあらすじ
プラネットと呼ばれるヴァーチャルゲームの中で君臨する赤羽一家。彼等は「黄昏の丘」と呼ばれる廃人と呼ばれ最強の4人組でした。狂った4人組として相手にすると自分が狂わされてしまうともいわれていました。
赤竜を追いゲーマーは彼等の場所へと入り込むと一人の少年が凶悪な赤竜を一撃の元に倒してしまいます。彼の名前は「イチ」と呼ばれるプレイヤー殺しと呼ばれ、狂った人間と呼ばれています。
この赤竜の所有をめぐり争っていると、結論を出す為にイチは自分のアジトへと連れて行きます。そこには「メイ」と呼ばれる明るい母親と「あああああ」と呼ばれる人の良さそうな背の高い男の子がいました。
そこでは殺意というものは存在せず親しみをもってゲーマー達に接しました。そして最後に現れた士郎と呼ばれる威圧感のある大男でした。「士郎」は赤竜にまつわる話を聞きゲーマー達に素材(赤竜)を渡すように言います。
そして機嫌が悪くなったイチを士郎は優しく褒めてあげるのでした。まさに絵にかいたようなアットホームな世界が広がっていました。
ヴァーチャルとリアルの中で
ネタバレです。プラネットという仮想ゲームの空間の中にいる「イチ」、「あああああ」、「メイ」、「士郎」はゲームだけでなく現実でも家族なのです。イチは引きこもりの有間太一郎、メイは無関心な母親有間雅、あああああは出来がいいのだが愛情を知らない弟有間明日真、士郎は家族に相手にされない父有間小次郎としてゲーム上だけでなく本当の家族として存在しています。
しかし現実はゲーム上のアットホームな関係とは違い、冷めて互いの事を嫌い合っている崩壊した家族でした。
素直になれない親子関係と兄弟関係。それを解消するために彼等はゲームのヴァーチャル世界へと身を投じます。家族の温もりを感じる為に。そしてゲームの中では温かい家族が待っているのです。そんな時現実の世界では父の有間小次郎が入院しました。
弟明日真から見舞いの誘いがあるのですが太一郎は迷いがあるのですがわだかまりが迷いとなり見舞いへとはいかないのでした。そしてまた現実から空想世界へと身を投じるのでした。
感想
現実世界と空想世界「PLANET」の二つの世界を行き来しながら物語は展開していきます。現実と空想の二つの世界に初めは戸惑いますが、読み進むうちにこの世界観に追いついていくと二つの世界の繋がりに気付いてきます。
しかし全くの正反対の世界に共通があるのかというとそれは全くないとは言えません。偽りの世界の中で4人は仲睦まじく協力し合いますが、現実世界では全く関わりを持たないと思っていたのですが父の入院で少しづつ変わっていきます。
しかしその事がゲームの世界でもリンクして士郎(小次郎)も入院してしまいます。困惑する中で黒い鳥が目撃されている黄昏の丘を狙いキャプテンピコ率いる海賊団が攻めてきます。キャプテンピコも今後の展開について重要な役どころを担うと思われますし、この女性にも闇がありそうです。
この漫画の面白さは空想と現実の狭間の中で思わぬところからリンクする所だと思います。顕著なのが父の入院と海賊の襲来というタイミングが絶妙であります。今後もこの二つの世界を行き来して現実の困難とゲーム上の困難をリンクさせるのでしょう。
興味深く異色作とも言える面白い漫画です。しかしどこかで問題を提起しているようでためにもなる漫画です。
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