紀元前15世紀、新国王時代のこと。
神、アメン・ラーの名の元、神官たちが見守る中、一組の男女が結婚の契りを交わします。
そのふたりは、王妃となるシェプスト、そして王となるセティ。異母兄弟の結婚ですが、この時代は珍しくないことでした。
女系で紡がれるエジプト王家。長女シェプストはファラオとなる夫にセティを選んだことになるのでした。
「碧いホルスの瞳-男装の女王の物語」1巻のあらすじ
新しいファラオとなったセティは、新しい名として、トトメス2世を授かります。7日7晩宴が続き、民衆が歓喜に包まれる中、当人たちの感情は冷めたものでした。
異母兄弟ということもあり、幼いころから知っている仲のふたり。女系で紡がれるとは名ばかりで、実権を持つのは王です。子供のころからセティと張り合い、力が欲しいと思っていたシェプストでしたが、女であるということだけで制約されることばかりです。
今は亡き母だけがシェプストの話を聞いてくれていました。思うように生きなさい、そう言ってくれた母の言葉に支えられ生きてきたシェプストでした。
「碧いホルスの瞳-男装の女王の物語」1巻のネタバレ
幼い頃より決められていた婚儀。シェプストはセティと結婚したものの、心は離れたままでした。トトメスと名を改めたセティは、そんなシェプストには目もくれず、結婚早々に第2王妃を迎えようとします。
美しい娘たちが王宮に詰めかけますが、やはりそこで誰よりも美しく輝くのはシェプストだったのでした。
父トトメス1世は、国境にて反乱軍の矢を受け戦死します。セティとシェプストの婚儀を急がせたのは、自らの死を予見していてのことだったのかもしれません。
トトメス2世は、反乱軍の一族を捕らえ、獅子を仕掛け、生きたまま壮絶な死を迎えさせたのでした。残虐を楽しむ新王トトメス2世に、恐れをなし、反感を抱く家臣も少なからずいたのでした。
女だからという理由で王にはなれず、国を統治できないことに憤りを覚えていたシェプストは、ひとりの家臣センムトに目をかけます。
センムトもまた、トトメスを信頼しきれない家臣の一人です。シェプストと過ごす日々の中で、女であるにもかかわらず、誰よりも国を思う気持ちが強いことを知ります。
敵味方なく死者の霊を毎晩弔い、祈るシェプストの姿を見たセンムト。全てにおいて美しいシェプストに、センムトは忠誠をちかうのでした。
感想
エジプトという舞台がまず興味をひきますよね。現代ならば、男女の差別格差はかなり無くなってきたと思いますが、この時代は、力だけが物をいう時代。
ファラオの長女が、どの男性を選ぶかで次のファラオが決まるわけですから、かなり重大なことですよね。だからといって、女性に選ぶ権利などあるはずもなく、シェプストのように自我を持った女性が現れたことは、当時のエジプトにとってはセンセーショナルな出来事だったに違いありません。
ただの変わり者、頭のおかしな王女と扱われていたシェプスト、その美貌を自分の野望のために生かす術を身につけたようですね。シェプストがこれから戦うべき相手は、いったい誰なのでしょうか。
続きがとても楽しみですね。
この記事へのコメントはありません。