千駄ヶ谷駅から徒歩10分。家賃ひとり3万円。シェアハウス「かねや荘」。
駒音の響き渡る不夜城には、今日も駒の音が鳴り響いています。
そこに、将棋など無縁な高校生が仲間入りすることで、未来は急に開けてくるのでした。
「ものの歩」1巻のあらすじ
なにかと要領の悪い高良信歩。高校受験も、必死で勉強したにもかかわらず、まさかの不合格で滑り止めの私立に入学が決まります。
家に居にくくなった信歩は、下宿をすることにします。「かねや荘」に足を踏み入れると、異様な雰囲気が広がっていることに驚く信歩。「奨励会会員限定」という条件が不動産屋に伝わっていなかったと話しているのが聞こえました。
この「かねや荘」は、プロ棋士を目指す人間たちのシェアハウスだったのです。
要領の悪さでクラスメイトとも馴染めず、実母が死んでからは、後妻の母とも馴染めずにいた信歩。そんな信歩の視野の狭さを、逆の意味で見抜いた直井は、将棋など知らない信歩を詰将棋に誘います。
駒の動きかたを初めて教えてもらいますが、直井の見抜いた通り、信歩の頭の回転はすさまじいものだったのです。一点集中型の思考力に、かねや荘の住民たちも驚きを隠せません。
そして、信歩は、歩むべき道を見つけたのでした。
「ものの歩」1巻のネタバレ
プロ棋士を目指すと決めた信歩。しかし、奨励会には遅くても中学生で入るのが当たり前で、高校生の信歩が今からプロ棋士を目指すのは遅いと言われます。
直井は、プロになるためにはギリギリの年齢、プロになるためにどれだけ人生を犠牲にするのかがわかっていて止めますが、他の住人たちは、信歩の意思を尊重するのでした。
詰将棋から、対面で将棋をさすことを教えられ、楽しさが増した信歩。仲間に支えられるなか、奨励会入会のためにまずは東京で1番になることを直井に言い渡されます。
部活動というものをしたことがなかった信歩ですが、将棋部があることを知り入部しようと部室へと赴きます。そこにいたのは、同じく新入生の藤川劉胆。藤川名人の孫でした。
勝負にこだわり、勝つことが全てだった藤川。目の前に現れた信歩が目をキラキラさせながら指す姿にイラつきます。しかし、信歩の中に、自分には無いものや、強さを見た藤川は、共に都大会に出ることを約束するのでした。
都大会前に初めて参加した大会、「千駄ヶ谷将棋大会」。ここで勝負の世界を初めて体験した信歩。ここから信歩の戦いの日は始まったのでした。
感想
将棋という、静かな戦い。でも、そこに挑む人間たちの熱い思いが散りばめられています。将棋など知らずに、導かれるように入ったかねや荘の住民たちによって、目の前が開けた信歩。
これまで何をやってもうまくいかず、かといって自分の道も見つけられなかった信歩が、やっと自分のやりたいこと、進む道をみつけたのですね。
個性ある住人たちの中、時には励まされ、時には叱咤されながらも日々成長していく信歩の活躍が楽しみですね。
そして、現れた、ネット中継しながら参加したプロゲーマー相楽十歩。この十歩が、なんらかの鍵を握っていそうですね。東京都で1番になるための戦いは、始まったばかりです。
この記事へのコメントはありません。