人は絶望の中で生きる事が出来るのでしょうか?絶望だけで希望も見えないそんな世界で生きる為には何が必要なのでしょうか?先が見えない中でも必死に何かの為に生きるそのような人も存在します。
このファイアパンチは新人の藤本タツキさんの作品です。少々衝撃的な漫画です。
ファイアパンチ1巻のあらすじ
「氷の魔女」によって支配された寒い世界。生まれつき与えられた特殊な力を持つ者は祝福者と呼ばれています。彼女によって支配された世界は飢えと恐怖に支配されていました。再生能力を持つ祝福者アグニとルナは氷の中で倒れている所を助けてもらいました。
そしてそのお礼に自分の腕をアグニは食料がない村の人に与えていました。アグニは妹思いの男の子でいつも内気な兄思いのルナを気遣っていました。
しかし氷の魔女に支配された世界では食料は足りないのです。今日も1人の老人が死んでしまいました。そんなやるせない世界に失望する二人。そしてルナは自分の知らない暖かい世界に想いを馳せます。アグニは自分の知る暖かい世界を教えます。またルナは兄アグニに兄弟以上の思いを寄せていましたが二人は兄弟だとアグニはその思いは拒絶します。
この村で今日も死者が出ました。アグニは死者に祈りを奉げながら自分達がこの村に助けてもらった日の事を思い出していました。そして感謝の気持ちを更に強めました。ある日彼は森へ猟に出てシカを捕えると皆の元へと急いでいると、彼は村に一台の飛行機が降りて来るのを見つけました。
残酷な展開に驚愕
ネタバレです。まずこのファイアパンチには特殊な能力を持つ者は祝福者と呼ばれています。アグニとルナは再生能力を持つ祝福者です。この二人は雪の中で倒れている所を村の人々に拾われました。二人はその事に感謝していました。
アグニは自分の再生能力を利用して食料がない村人の為に腕を切り落とし提供していました。それを受け入れる物もいれば拒否する物もいます。拒否する者には死が待っています。ルナはアグニに兄弟以上の思いを持ち「子供を作りませんか」と迫りますが、彼はその事を拒否します。
アグニが猟の時に見た飛行機から降りてきたリーダーらしき落ち着いた男はドマと名乗ります。そして彼は戦いにきた訳でなく食料とガソリンを買いに来ただけと伝えます。アグニは彼等の態度に腹を立て帰れと叫びます。
しかしドマ達はその言葉を無視して食料を捜しにいきますが、そこで人肉を発見します。その事にドマはこいつらは人ではないと自分の祝福の炎の力を使い村人を焼き尽くします。
しかしアグニは再生を続け死ぬことも出来ません。しかしルナは再生能力が低い為に炎に焼き尽くされます。ルナは生きてと最後に言い残します。彼は炎に焼けながらもドナへの復讐だけで生き続けます。
感想
この漫画は特殊な作り方をしています。まず、第一話でこの物語の状況を伝えます。二話以降では過去と現在(ドナの襲撃以降)の話が続きます。全体的に過激な表現が出てきます。
アグニの腕をルナが切り落としそれを村人に分けるという、想像すると凄いグロテスクな内容ですが作品の中に自然に表れます。そして兄弟同士で愛し合うような描写や炎に焼かれる様は作品の中で普通に描かれますが、それは作品として必要な描写のように存在します。
他にもルナを襲った犯人を斧で殺し、拘束されている手足を切り落とし脱出するなど普通に考えればあまり表現されない描写ではないでしょうか。
でもこのような過激で残酷な描写も作品としてしっかりと必要性のある描写だと思われます。文章で書くとグロイと思われがちですが作品としてみるとそこまではなく、むしろ必要性のある描写だと思われます。展開も凄く十年間アグニは炎に焼かれドナに復讐を挑むのですが最後は倒れる姿が描かれています。
もう一つ謎となる映画好きのトガタの独り語りのシーンは今後の展開にどのように絡むのでしょうか?1巻での伏線回収はどのようになされるのか楽しみです。
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