阿字野に、修平のレッスンを見てもらおうとした修平の母。しかし、阿字野は、これまでもこの先も、自分は弟子をとることもしないし、個人的に誰かに教えるということもしないと言い放ちます。
阿字野が個人的に海にピアノを教えているのではないかと思っていた修平の母は驚きを隠せません。
「ピアノの森」2巻のあらすじ
阿字野は、修平の母から海のことを改めて聞き、愕然とします。ピアノのレッスンも受けたことのない海の聴力は、阿字野の想像を遥かに超えていました。レッスンなどでは得ることのできない能力を、海は持っているのかもしれないと思うのです。
海の音感は常人離れしていました。給食を食べる金平の、肉を噛む音を聞いただけで、虫歯があることを言い当てるのです。しかも、虫歯の箇所や進行度合いまで言い当てる海。さすがに金平も、これには驚きます。
海の音感、聴覚は、はかりしれないほど研ぎ澄まされていたのでした。
「ピアノの森」2巻のネタバレ
阿字野は、修平を呼び止め、海のことを問いただします。海だけは森のピアノを弾けるのだと言い張る修平ですが、阿字野はとても信じることができません。
かつて、阿字野が一流ピアニストとして活躍していた時代に使っていたのが、今まさに森に捨てられているピアノだったのです。交通事故により婚約者を亡くし、自分は怪我からピアニスト生命を絶たれ、手放してしまったピアノ。
そのピアノは特注品で、阿字野にしか弾きこなせないピアノでした。海は、森に捨てられたピアノを、幼いころから触ってきたと聞いた阿字野。
しかし、自分がそのピアノを探しに行ったとき、阿字野でさえ音を出すことができないほど壊れていたはずなのでした。
そのピアノを海だけは弾くことができると聞き、修平に教えてもらった通り、夜中に森へと行ってみた阿字野。そして、そこには、自分のピアノが、海の指によって、綺麗な音を奏でていたのでした。
事故以来、ピアノに正面から向き合えなくなっていた阿字野は、海のピアノを聴き、一緒にピアノをやろうと言います。無意識に出てしまった言葉ですが、海はあっさり断るのでした。
全日本学生ピアノコンクールに向け、練習に取り組む修平。課題曲であるモーツァルトのピアノソナタヘ長調K280を修平に弾いてもらった海。それが、海とクラシックの、初めての出会いでした。
感想
事故により、ピアノと向き合えなくなっていた阿字野を突き動かすほどの、海のピアノの音色。自分がかつて捨てたピアノが、海によって命を繋いでいたことが、阿字野のなかに眠っていた音楽への気持ちを揺り動かしたようです。
弟子を取ることも、個人的レッスンもしないと言い切った阿字野が、海にレッスンの話を持ち掛けたことを知った修平の気持ちは複雑なようですね。現実を素直に受け入れようとする気持ちと、湧き上がる嫉妬心。
自分の中に沸き起こった醜い部分と格闘する修平は、本当に素直な子なのだと思えますね。
海とクラシックの出会いは、これから海が向き合うであろうクラシック曲たちの数々を楽しみにさせてくれますね。
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