死者の脳を映像解析する法医第九研究室。
世間の理解を得られるのは難しく、風当たりも強い中、使命感に燃えるメンバーたち。精神障害と隣り合わせの中で働く彼らには、死者からたくさんのメッセージが伝わってくるのでした。
「秘密トップ・シークレット」2巻のあらすじ
ある日、室長の薪宛に「私の体を探して」というメッセージカードとともにひとつの脳が届きます。
添えられていた写真は3日間無断欠勤している第九のメンバーのひとり、天地奈々子。霊やオーラが見えるという天地は、第九初の女性メンバーでした。
天地の初仕事となったのは、連続少女強姦殺人事件。MRI映像を見て気分が悪くなったものの、恍惚とする天地。そんな天地は、職場でミスを犯し、薪は指導係である青木を注意します。
居残り仕事をする青木に、天地は手伝おうとしますが、青木に拒絶されるのでした。そしてそれが、天地と交わす最後の言葉になってしまったのでした。
「秘密トップ・シークレット」2巻のネタバレ
天地の脳をMRI映像として見ることになったメンバーたち。そこには、犯人から天地宛、果てはそれを見た天地の脳を送る第九への脅迫文がありました。
天地が最後に立ち寄った場所は、白泉病院。青木はひとりでその病院へ乗り込みます。しかし、青木が証拠を掴んだ瞬間、女医に殴打され気を失ってしまいます。脳を切り取られた天地とともに冷凍庫へ寝かされてしまった青木。
しかし、眠りの中の「匂い」で、天地がそばにいることを感じ取ります。
人は死の直前になると、脳から一種の麻薬のようなものを分泌し、苦痛や不安から解放します。青木は、地獄のような寒さから、次第に幸せな感情へと移ってきたとき、そこに薪らメンバーが駆け付けたのです。
天地が夢として最後に脳内で作り出した映像には、メンバーたちと互いに支えあい協力し合い、笑顔で会話するものでした。それが天地の望むいちばんの幸せだったことをメンバーは知るのでした。
露口死刑囚の死刑が執行され、死んだ露口の脳を見ることになった青木。家族を皆殺しにしたとされた惨殺事件でしたが、唯一遺体の見つからなかった長女が生きて発見されます。
露口の脳内映像には、長女の絹子が家族を殺すシーンがあり、驚く青木。しかし、すでに刑は確定し死刑も執行されています。
子供のころに実の父、露口から性的虐待を受け、男性に対し憎悪の塊となってしまった絹子。男たちを誘惑しては殺していく絹子に、異常性を感じた少年を殺しますが、少年の連れていた犬の脳から事件は発覚するのでした。
父から異常な愛を受け育った絹子。露口は絹子の犯行を見てしまったときに、自分を責め、絹子を殺すべきだったと悔やんで死んでいったのでした。
感想
犯行には動機がある、しかし動機が何であれ、犯罪は許されるものではありません。脳内には膨大な情報が詰め込まれていて、それを欲しがる人間と、それを抹消しようとする人間がいる。
第九のメンバーたち、特に薪の脳を狙う人間たちに囲まれながら、メンバーたちは日々奮闘しています。
薪同様に、メンバーの死にショックを受け、後悔する青木。若くして事件に巻き込まれ死んでいった天地は、これからも青木の心から消えることはないでしょうね。
簡単に解明されない事件だからこそ第九に持ち込まれる脳。その脳に詰まった記憶と思い。死んだ人間の思いを知ることで、辛さが増すこともありますね。第九のメンバーたちは、死者の思いを代弁する立場であるのかもしれません。
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